仕事でもプライベートでも、他人の評価は気になってしまいますよね。
「自分は相手にどう映っているのだろうか?」
「自分は相手の期待に応えられているのだろうか?」
「こんなことをしたら嫌われるんじゃないだろうか?」
など、私たちは常に他人の評価を気にして行動しがちです。
「あの人のように、ありのままの自分になりたいな」と思う人も多いでしょう。
実は他人の評価を気にしてしまうことは人間なら当たり前であり、実は悪いことではないのです。
問題なのは、他人の評価に過剰になりすぎることで、自分の理想としているような人生ではなく、他人の評価に左右される人生を歩んでしまうことなのです。
では、どうすれば改善していくことができるのでしょうか?
実は、考え方によって、他人の評価を気にしないで済むようになれるのです。
今回は他人の評価を気にしてしまう方に知っていただきたいことをお伝えしていきます。
この記事の目次
1. 他人の評価を気になってしまう原因
そもそもなぜ人は他人の評価を気にしてしまうのでしょうか?
他人の評価を気にしてしまう原因として、
- 子供の頃にどのように育てられてきたのか
- 親の接し方や環境
といった要素が考えられます。
子供は親に受け入れてもらうことに一生懸命です。
ですので、例えばあなたが、あるがままの自分を認めてもらうことがなく、テストの結果ばかりに注目されて親に評価されて育ってきた場合、高い得点を取ることに固執するようになっていきます。
そして、良い評価をされないと受け入れてもらえないと思い込むようになるのです。こうした経験は潜在意識に強く刻み込まれます。
ですので大人になって会社で働くようになったり、家庭を築くようになっても、無意識にどう評価されているのかが気になってしまうのです。
すると、他人の評価に一喜一憂することになり、成果を出し高い評価を受けていることを実感すると自意識過剰になりやすく、成果を出せず低い評価を受けていることを実感すると絶望する傾向が強くなります。
まさに他人に評価によって、自分自身の存在感は大きく変わっていくのです。
「評価によって自分が受け入れられるかどうか決まる」ということを、人間の社会のルールだと思い込んでしまって育ってきているのが原因だと言えるでしょう。
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2.他人の評価が気になることは普通である
2-1.承認の欲求は誰もが持つ欲求
しかし、実は他人の評価を気にすることは普通の反応です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、人には五段階の欲求があると言われています。
それが、アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー氏が提唱する「マズローの五段階欲求」です。
それぞれの欲求の詳細は次のようなものです。
- 生理的欲求…食事や睡眠、性的な最も根源的な欲求
- 安全欲求…安全な暮らしや秩序を求める欲求
- 社会的欲求…組織、家族といった共同体に所属して、その一員になりたいという欲求
- 尊厳(承認)欲求…評判、名誉、地位、自尊心を求める欲求
- 自己実現欲求…自分を開花させて、自分のなりうるものになりたいという欲求
上に行くほど高次の欲求となっており、現代では生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求は満たされているケースが多く、承認の欲求や自己実現の欲求を満たしたいと感じている人が多いのです。
マズロー氏はこのような欲望は悪いものだと否定していません。
むしろこうした欲求は押し殺すのではなく、引き出して満たすことで幸福になれると述べています。
ですので、他人から評価されたいというのはごく自然な欲求だと言えます。
問題なのは、「他人の評価がすべてだと思い込んで、自分を見失ってしまう」という状態になることです。
他人の評価を過剰に気にしすぎてしまい、その評価が低いと、自分自身にまったく自信が持てなくなります。
「他人の評価=自己像」に陥ってしまうと、他人の評価に振り回されて、自分で自分にブレーキをかけて、自分の本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。
2-2.他人の評価は有益な情報にもなる
実際、他人の評価をまったく気にしないということも問題はあるでしょう。
人は他人の評価によって、自分の長所や短所を知ることができることもあるからです。
これは成長したり、目標を達成するうえではとても有益な情報になります。
例えば、「他人から見たら自分は優しく見える」という点は、自分では気づきにくいものです。
他人の評価を聞いて初めて気づくことでしょうし、それを知って自信を持って人に接することができるようになるかもしれません。
「なんだか自分の意見ばかりを通そうとして、周囲の声に耳を貸さない」という評価もあるかもしれません。
チームワークを良くする、組織力を高めていきたいと考えているのであれば、この評価は打開するヒントにもなるわけです。
「他人の評価=ネガティブなもの」とすべてをシャットアウトすることもまた、ひとりよがりになってしまい、自分のパフォーマンスを発揮できない原因になる可能性があります。
あくまでも他人の評価に左右されすぎないようにすべきで、バランスが重要です。「他人の評価を気にしない=とにかく我が道を進む」ということではありません。
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3.他人の評価を気にしない方法とは?
では、実際に他人の評価を気にしないようするためにはどうすればいいのでしょうか?
3-1.他人の期待に合せすぎない
他人の評価に左右されすぎる人の特徴のひとつは、他人の期待に応えようと頑張りすぎるということが挙げられます。
これは「他人の期待に応えることで自分は受け入れてもらえる」という気持ちが強すぎるからでしょう。
しかし、周囲の人すべての期待に応え、すべての人から好かれることは不可能です。それは、どのような優秀な人や魅力的な人であっても同じです。
人間関係において「2:6:2の法則」というものがあります。
これは、
- 仲のいい人は全体の2割
- そうでもない普通の人が8割
- 好きではない人が残りの2割
というものです。
あなたの周りを見渡してみると、だいたいそれくらいの割合ではないでしょうか?
これは、パナソニック(松下電工)の創業者で有名な松下幸之助さんが語った法則と言われていおり、次のような言葉を残しています。
ほとんどの人は、あなたが嫌いな2割の人を意識しすぎている。
それによって、自分らしさが出せていない人が、あまりにも多すぎる。
私たちは「とにかくいい人だと思われたい」と常に考えているから、他人の視点にコントロールされてしまうのです。
しかし、どのような人も2割くらいの人には嫌われたり、敵視されているものなのです。
ですから、他人の評価を気にしないマインドセットとしてみんなに好かれようと思わない、嫌わてもしかたがないと思うということが大切になるでしょう。
最初はそのような割り切りが難しいかもしれませんが、そうした思考を持ち続けるということできっとあなたを楽にしてくれるはずです。
3-2.自分の目標を明確にする
他人の評価に右往左往してしまう人の特徴として、自分の人生の目標が明確に定まっていないということも挙げられます。
それは、自分の軸がしっかりと定まっていないため、他人の評価でふらついてしまうのです。
あなたの目標を明確にするためには
- 自分がどう生きたいのか
- 社会にどう貢献していきたいのか
といったことを考えることが大切です。
20世紀を代表する心理学者であるアドラー氏の書籍の中で次のようなことが述べています。
人からどう思われるか気にする、自分のことをよく見られたいと思う人は、自分にしか関心がなく、人生が要求していること、人間として(人生に)何を与えなければならないかを忘れる
つまり、他人の評価を気にしすぎているのは、実は自分のことばかりを考えているということです。
なので目標を考えるときは自己満足な目標ではなく、「他者や社会にどう貢献していきたいのか」ということまで考えてみるとよいでしょう。
単に、「もっと稼ぎたい」「もっと社内で活躍したい」という目標でなく、「世の中の不満を解消したい」「会社の認知度を上げブランディングに寄与したい」というようなイメージです。
重要なのは「相手にどう思ってもらえるか」ではなく、「自分に何ができるのか」「相手に何ができるのか」です。
そうすることで、自分に「貢献感」が生まれ、自分には価値があると思うことができ、自分を好きになることにつながります。
貢献感というのは、「自分が役に立てている」という感覚のことであり、他者の評価に依存しません。
自分がこの社会でどんな役割を果たしたいのかを考えることによって、他人の評価以上に大切なものが見えてくるのです。
※自分の人生における目標を明確にしたい方は以下の記事をご覧ください。
● 人生が10倍楽しくなる!人生の目標を絶対に見つけるためのポイント
● 自己実現とは?その正しい意味と達成方法について解説します
● 「人生の輪」を使ってあなたの人生を本当に充実させる方法|目標設定・習慣化の方法まで
3-3.能力を高めることに夢中になる
マズローの承認欲求は大きく2つに分かれます。
ひとつは他人からの評価、他人から認めてもらいたいという欲求ですが、実はもうひとつ承認の欲求があるのです。
それは「自分自身の評価」です。
他人の評価を気にしないようになるためには、「自分の能力が高まっている」「自分のスキルが熟達している」といった自信を持つことも、自分は世の中で役立つ人間だと承認欲求を満たす要因になります。
そのため、他人の評価を気にしないマインドセットとして、「自分の能力を高めることに夢中になる」「自分自身を評価する」ということを大切にしていくべきでしょう。
3-4.ネガティブな評価も前向きに受け止める
自分の意見ややり方と、自分の価値を切り離して考えるということも、他人の評価を気にしすぎないためにも重要です。
仕事でもプライベートでも、あなたの意見ややり方に対して批判的な評価をされることがあるかもしれません。
しかし、それはあなた自身を否定するものではなく、あくまでも「もっとも良いやり方がある」という提案です。
他人の評価を気にしすぎる人は、「やり方」に対する批判を「自分」に対する批判と捉えがちです。
しかし、これらは一切別物として考えるべきです。
あなたの意見ややり方が「明確な目標や価値観」に基づいたものであれば、ネガティブな評価も前向きに受け止められるはずです。
目標を達成するために必要な異見であれば受け止めるべきですし、ただ批判したいだけの発言であれば聞き流せばいいだけです。
特に会社の立場が上になると、異見してくる人が少なくなり、正しいフィードバックが行われなくなるケースがあります。誰もが賛成してくれる状態です。
みんなが良い評価してくれるのは気分が良いでしょうが、問題を含んでいます。
徳川家康は
諫めてくれる部下は、一番槍をする勇士より価値がある
と述べました。
気にすべき評価と、気にしなくてもいい評価にしっかり区別することは、大切なヒントを得るきっかけになり、目標を達成するためには必要な要素になります。
3-5.自己受容をする
さて、ここまでの努力をしているのであれば、もはや他人の評価を気にしすぎる必要などありません。
むしろ、自分の頑張りを自分で認め、褒めてあげましょう。
劣等感が強く、羨んで攻撃的な言動をしてくる人もいますし、あなたの目標を妨げようとするようなドリームキラーもいるかもしれません。
そんな中でも逆行にめげずに前進している「ありのままの」自分のことを受け入れるようにしてください。これは「自己受容」というものです。
他人の評価を気にしない最も重要なマインドセットは、この自己受容になります。
自己受容をすることができれば、相手に合わせたり自分を大きく見せる必要はなくなるのです。
こうして、ありのままの自分を受け入れ、自分の理想とする目標に向って突き進むことが、自信に繋がっていくのです。
自己受容の方法については自己受容とは?自己肯定感と区別し、ありのままの自分を受け入れる方法でも詳しく紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
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まとめ
他人の評価を気にしすぎてしまう人へポイントをまとめました。
- みんなに好かれようと思わない
- どう生きたいのか目標を明確にする
- 目標を達成するために能力を高めることに夢中になる
- ネガティブな評価は自分への評価ではなく、やり方への評価だと割り切る。
- ありのままの自分を受け止める自己受容をする
以上5つの考え方を心掛けていくことで、他人の評価に左右され、振り回されるようなことはなくなります。
そして他人の評価を気にしすぎないで、自信を持ってチャレンジできるようになるので、高いパフォーマンスを発揮できるようになるのです。
アドラー氏は「人の価値は、他者の評価に依存しない」と述べています。ぜひ充実した自分らしい人生を歩んでいきましょう。