「今の子どもたちの 65%は、今ない職業に就く」
「10~20 年後、約 47%の仕事は自動化される」
このような予測が文部科学省によりされており、小学校・中学校の道徳の必修化も進められています。
こうした時代を生き抜くために必要なのが「人間力」です。
もちろん、ビジネススキルやコミュニケーションスキルを向上させることや、適正なマインドセットを行うことも手段のひとつです。
しかし、総合的な「人間力」を上げることがこれからの時代に必須となります。
しかし、人間力とは一体なんなのでしょうか?
また、人間力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
今回はこうした疑問について解説していきます。
この記事の目次
1.人間力とは?
1-1. 人間力の定義
東京大学教授を座長とした「人間力戦略研究会」が2003年に発表した報告書によると以下のように定義されています。
社会を構成し、運営するとともに、自立した一人の人間として、力強く生きていくための総合的な力
これが現在の日本が求める人材であり、この内閣府の定義付けによって教育の在り方や、入試制度も大きく変わっているのです。
人間力というものが打ち出された背景には、高齢化問題などによる働き手不足の深刻化があげられます。
自立した人材をいかに増やしていくのかが打開策になるからです。
また、グローバル化による諸外国との競争も理由のひとつでしょう。詰め込み教育による知識や、生産性をただ高めていくビジネスでは、諸外国との競争に勝てない状況になってきたのです。
だからこそ、これまで日本人に欠けているとされてきた「主体性」や「リーダーシップ」、そして時代と共に薄れてきた「忍耐力」などが問われるようになってきているのです。
1-2. 人間力を構成する要素
人間力とは何なのか、その定義についてはご紹介した通りなのですが、かなり抽象的で、目標到達地点も見えにくいものがあります。もう少し具体的に内容を確認してみましょう。
人間力は次の3つの要素から構成されています。
① 知的能力的要素
② 社会・対人関係的要素
③ 自己制御的要素
それぞれの要素には、どのような項目が含まれているのでしょうか。
① 知的能力的要素には、基礎的な学力から専門的な知識やノウハウまでを含みます。
また、インプットした知識をいかに状況に合わせてアウトプットするのかが大事ですので、そのための「論理的思考力」も重要視されています。さらに、「創造力」も含まれています。
② 社会・対人関係的要素の柱は、ずばり「コミュニケーションスキル」です。
さらに「リーダーシップ」や「公共心」、規範意識や切磋琢磨して互いに高め合う力などを含みます。
③ 自己制御的要素には、継続して目標に向けて取り組んでいく「意欲」や「やり抜く力」、自分らしい生き方や成功を追及する力を含んでいます。
このような力をバランスよく高めていくことで、総合的な力である人間力も高まり、あらゆる組織の中で高いパフォーマンスを発揮し、成果をあげていくことができるようになるというわけです。
人間力が低いとどうなってしまうのか?
人間力が低いことは、上記のような力が低いことを意味しますが、具体的にどのようなことが起こってしまうのかを見ていきましょう。
まずは論理的思考ができず、「何が言いたいのかよくわからない」「説得力がない」ということがあげられます。そして、相手の理解を得られない「一方的なコミュニケーションになりがち」です。
また、常に受け身の姿勢で「主体性がない」、決められた枠組みの中でしか物事を考えられないような「創造力がない」のも人間力の低い人の特徴です。
そもそも自分らしい生き方や成功を追及していない傾向が強いので「モチベーションが自分で作れない」のです。ですから「継続するのが難しい」ことにも繋がっていきます。
組織の中にいても相手に「感謝の気持ちがない」「協力し合えない」「自分の利益しか考えず、社会や他社の利益について考えられない」「約束を守れない」こともあげられます。
チームを引っ張る立場になっても「目標とすべきゴールを具体的に示すことができない」ため、リーダーシップを発揮できません。
人間力が低いことはこのような悲惨な状況になってしまうのです。
しかし、日々意識し、工夫することで大人になってからも人間力を高めることはできます。
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2.人間力を高める方法
人間力を構成する以下の3要素を高める方法についてここでは説明していきます。
① 知的能力的要素
② 社会・対人関係的要素
③ 自己制御的要素
2-1.知的能力的要素の向上方法
知的能力的要素を向上する方法として、最も効果的なのは「読書」をすることです。
当然、読書をすることにより基礎的な読解力や知識だけでなく専門性の知識も身に付けることができます。
また、読書によって向上するのは、知識の面だけではありません。
どのように組み立てていけば問題が解決できるのか、どのように伝えれば相手に理解してもらえるのかといった論理的な思考力を磨くことも可能なのです。
つまり読書は、知的能力的要素の向上だけでなく、コミュニケーションの面でも補ってくれるため、社会・対人関係的要素の向上にも良い影響をもたらします。
また、自己啓発系の書籍であれば、自分の視野を広げ、夢や目標の発見やそれを達成するためにどんな努力が必要なのかといった自己制御的要素の向上にも繋がります。偉人たちがどんな志を持って生きてきたのか学ぶことは、大きな糧になるでしょう。
2-2.社会・対人関係的要素の向上方法
社会・対人関係的要素を向上する方法として、最も重要なことは、常に相手のことを考えることです。
素直に感謝できるポジティブな心境であれば、相手の悪口をこそこそ陰で言うようなことはしないでしょう。
相手との約束を平気で破ることはしないはずですし、相手の意見に対して否定的になることもなくなります。
さらに、相手の長所に注目できるようになるはずです。
陰口を叩いたり、嘘をついたりする人は、自然と周囲からの信頼を失っていきます。ですから、友人や家族を大切にし、周囲に対して明るく接することを心掛けます。
また、感謝の気持ちを持ち、明るく接するだけで人間関係は大きく改善されます。これはすぐに取り組める内容だけに、明日からでも実践するといいですね。
さらに、相手の立場で物事を考えられるようになると、相手への理解や接し方も変わってきます。
自分本位の視点だと厄介者にしか見えない相手も、相手本位の視点だと、まったく別のものが見えてきます。相手にも自分と同じように家族がおり、大切にしている価値観や目標があるのです。
そう考えると、もっと優しく相手に接することができるようになるでしょう。
相手の利益を考え協力することで、自分にも利益があるということが認識できれば、そういった行動が積極的に取れるようになります。こうして公共心は高まっていくのです。
日頃から「社会のため、他人のために役立つ行動」を意識してみましょう。
3-3.自己制御的要素の向上方法
意欲ややり抜く力(グリット)は才能とは別のものです。
いくら能力を高めスキルを磨いても、やり抜く力が中途半端であればパフォーマンスを充分に発揮することはできません。
オバマ元アメリカ大統領は、二度に渡る一般教書演説の中で、やり抜く力の重要性に触れています。そしてその育成を2013年度の教育省の最優先事項としたのです。
それでは、やり抜く力を高めるにはどうすればいいのでしょうか?
それにはズバリ「情熱」が必要です。
情熱は人生の目的を生み出す原動力となります。
そのためにはまず「興味」を持つことから始まります。そこからさらに深く掘り下げる努力をすることで、より興味は増していくでしょう。
しかし、興味だけではやり抜く力は育成できません。努力や忍耐力の価値を実感する必要があるからです。
そこで、自分の弱点や改善点を克服するような「意図的な訓練や練習」を行います。
そしてこの中で努力がいかに効果的であるのかという「努力の大切さ」を学ぶ機会となるのです。
努力の価値を知ることで、「希望を持つ」ことができます。失敗は能力の問題ではなく、方法の問題です。自分の能力が低いから失敗したという認識では、希望は生まれてきません。
失敗への解釈を変え、方法を見直し、さらに粘り強く努力を継続できるようになれば目標はきっと達成できます。こういった希望を持つこともまた、自己制御的要素の向上には重要です。
自分自身の弱い部分とも向き合っていくことになりますので、逃げ出したくなる時もあります。
そんな時は「コーチやメンターといった専門家のアドバイス」を受けるのが効果的です。
間違った方向に努力し続けているのであれば、修正も必要です。効果的な努力の仕方もアドバイスしてもらえるでしょう。そして希望を持てるよう励ましてくれます。
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まとめ
これからの時代、人間力を高めていくことは重要です。
人間力を高めていくことで、夢や目標を見つけ、そこに向けて自分を磨く努力をしていくことで、周囲や社会に貢献できるようになります。必要とされている力は、主体性を持ちながら周囲にポジティブな影響を与え、巻き込んでいく力です。
目標を持って自分自身を高めようと努力すること、そして相手を思いやる気持ちがあれば、必ず社会に必要とされるでしょう。そして、とても充実した人生を歩んでいくことができるのです。
色々と方法論についてはお伝えしましたが、まずは自分について知るということから始めてみてください。
そこから足りないものを補っていくことで、確実に人間力は高めることができるようになります。