「自分の考えを相手に理解してほしい」「自分を認めてほしい」
こういった「承認欲求」は誰もが持っている人間にとってごく自然な欲求です。それ自体は悪ではありません。
しかし、承認欲求が強すぎるといつまでも他人からの評価を気にしてしまい、自信を持つことができません。
そしてそれは人間関係の悪化などにつながっていきます。
今回は承認欲求とはどういうものか、強い人の特徴、そして対処法についてお伝えしていきます。
この記事の目次
1.承認欲求とは?
承認欲求とは、一般的には「社会生活の中で、他人から認められたい」という欲求のことです。
- 他人から「素晴らしい人だ」と賞賛や尊敬されたい
- 社会的な名声を得たり、社会的な地位を向上させたい
こういった願望があります。
この他人から認められたい欲求は「他者承認」とも呼びます。
これがより高次になると「自分自身への信頼を高めたい」という「自己承認」になります。
自己承認は、自らの能力やスキルを向上させたりすることで、自分への信頼を高めて自分で自分を認めるものをいいます。
アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が提唱した「欲求五段階説」というものがあります。
これによると、承認欲求(尊厳欲求)は上から2番目に高い欲求です。
欲求五段階説の1番底辺にあるのは、生理的欲求であり、「睡眠をとりたい」「食事をしたい」という基本的なものです。
それが満たされると、安全欲求に移ります。「安心して暮らしたい」「安全を確保したい」というもので、現代では生理的欲求も安全欲求もほとんどの人が満たされています。
3番目が「社会的欲求」であり、「仲間がほしい」「集団や組織に属したい」という所属と愛を求める欲求になります。
現代ではインターネットが盛んになり、この欲求を飛び越えて、四番目の承認欲求を求める人も多くなっているようです。
一番上の5番目は「自己実現欲求」で、他者よりも自分に注目し、自分の能力を引き出し創造的な活動がしたいという欲求です。
高次な承認欲求である自己承認と重なってきます。
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2.承認欲求が強い人の特徴と原因
承認欲求が強い人はどういう人なのでしょう?そして、なぜ承認欲求は強くなってしまうのでしょうか?
2-1.他人よりも優れていなければいけないという思い
冒頭に述べたように承認欲求は誰もが持っている欲求です。
しかし、あまりに強い承認欲求は自分を大きく見せることに必死になってしまい、人間関係などに影響が出てしまいます。
では、承認欲求が特に強い人にはどのような特徴があるのでしょうか?
ひとつは、他人よりも優れていなければ自分を認めてもらえないという思いが強いことが挙げられます。
そのため、自分がいかに周囲よりも優れているのかをアピールするようになるのです。
このケースだと、過去の自分の栄光や、手柄などを「自慢する」というのが一番の特徴になります。
その他にも
- 高級の車に乗っている
- 高い役職に就いている
- 著名な人と知り合いである
という「ステータス」をアピールするというのも承認欲求が高い人の特徴です。SNSではこのようなアピールは頻繁に見かけますよね。
また、他人と自分を常に「比較」して自分が優れていることを実感していたいという気持ちがある反面、プライドが高いので、ミスや目標に達しないと他人のせいにするという特徴もあります。
そのため他人に対して「批判的」になる傾向があるのです。
ただし、自分の優れた部分を他人に見せたがるので、「努力家で頑張り屋」という一面もあります。
2-2.他人と同じでなければいけないという思い
もうひとつは、他人と同じでなければ自分を認めてもらえないという思いが強いケースもあります。
自分がいかに優れているのかをアピールするのではなく、自分がいかにみんなと同じかをアピールするのです。
SNSでも「私はみんなと同じ感性で、同じ価値観だよ」ということを主張しますし、仲間意識が強いので、相手に同調して褒めることをします。
これは自分も同じように認めてもらい、褒めてもらいたいという想いから起こる行動といえます。
2-3.他人に愛されなければいけないという思い
他にも承認欲求が強い人の特徴として他人に愛されなければ自分を認めてもらえないという思いが強いケースもあります。
愛されていない自分には存在価値がないと思い込んでいるのです。
ですからSNSには「自分がこんなにも愛されているんだ」という内容をアップします。
恋人とのデートの場面、誕生日を祝ってもらっている場面などがその例でしょう。
また、気にかけてもらいたいという気持ちが強いため、あえて自分の不幸話などをして同情してもらうような言動をとります。
病気であることをアピールしてなぐさめてもらおうというのも同様です。
2-4.なぜ承認欲求が強くなってしまうのか?
上記のような承認欲求が強い人の特徴に当てはまった人も多いかもしれません。
では、一体なぜ承認欲求が強くなってしまうのでしょうか?
承認欲求が強くなった原因は様々考えられますが、子供の頃の経験が大きいと考えられます。
「何かしないと両親に認めてもらえない」という体験が、自然と何かをクリアしないと他者承認が満たされないという価値観を強くしていっています。
一般的には「条件付きの愛情」と呼ばれているものです。
条件付きの愛情の例として以下のようなものが挙げられます。
- テストで両親の納得いく得点を取ると褒めてもらえる
- 両親が満足するような言動をすると褒めてもらえる
その他にも承認欲求が強くなった原因としては、以下のようなケースも当てはまります。
- 兄弟でよく比較された
- 両親にほとんどかまってもらえなかった
- 病気になった時だけ両親に優しく接してもらった
- 短所ばかりを厳しく指摘されてきた
こうした環境で育ってきた場合、「認められたい」という願望が強くなるため、承認欲求が強くなる傾向になります。
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3.承認欲求が強い場合の対処法について
では、承認欲求が強い場合、どのように対処していけばいいのでしょうか?
3-1.他者からの承認欲求を弱める方法
「賞賛されたい」「尊敬されたい」
こうした他人からの承認欲求は、あくまでも相手がどう感じるかが問題であって、自分の力だけでどうにかできることではありません。
このような他人からの評価に依存してしまうと、自分の気持ちや本当にやりたいことを押し殺してしまうようになり、例え賞賛されたとしても本当の自分が評価されているわけではないので満足できなくなっていきます。
そのため他者からの承認欲求を弱めるためには、上司や同僚、家族や友人たちから認めて欲しいという段階から、次に紹介する自分自身への信頼を高める段階に移行すべきでしょう。
他者承認を満たそうとしても心から満たされることはないということを理解し、どうすれば自己承認できるのかを考えていくべきです。
そうすれば自然と他者承認は弱まっていきます。
強い他者承認の欲求の原因は自分自身でもよくわからないので、そんな自分自身に嫌気がさすかもしれませんが、まずは優しく受け止めてあげましょう。
ここまで認めてもらいたいという気持ちで必死になって頑張ってきたのです。そこに理解を示し労うことも自己承認を満たすための道筋になります。
3-2.自分の自己承認の欲求の満たし方
私たちは自分に対する信頼である「自己承認」の欲求を満たしていくのが望ましいです。
「自己承認」の欲求を満たすための方法は、
- 自分が本当にやりたいことは何なのか
- 自分はどうなりたいのか
こうした目標やビジョンを明確にして、そこに向って前進していくことです。
そうすることで望んでいるような自分の成長を実感することができ、自信が高まり、心から満足することができます。
自らの目標を見つけ、達成していくことは他社の評価に依存しません。
例えば、「ITの分野で起業して自分の会社を持ち、社会貢献していきたい」という目標があるのであるとしましょう。
そうすると
- そのために今必要なことは何なのか
- どんな力をつけていけばいいのか
- 自分のどこを改善していけばいいのか
といったこと考えていくと、目先の目標ややるべきことも見えてきます。
「リーダーシップを磨きたい」「コミュニケーション能力を高めたい」「相手の能力を引き出せるようになりたい」と考えるのならば、「コーチングを受ける」「コーチングを勉強する」という方法が見つかります。
こうして能力を高め、スキルを身に付けていくことで自分自身への信頼が高まっていき、自己承認の欲求を満たすことに繋がっていくのです。
注意しなければならないのは、ビジョンだけはあるものの、そのために何をしていいのかわからず、理想と現実のギャップに悩まされ、自分自身に不満を感じてしまうことです。
そうすると自信を失い、他者に依存しやすくなってしまいます。つまり、他者からの承認欲求を求めてしまうステージに戻ってしまうのです。
また、「1兆円の売り上げを出す会社にする」「今すぐにでも起業し、即全国展開できる成果を出す」など理想が高過ぎる、目先の問題を解決するためのハードルが高過ぎるとこういった傾向が強いと、自己承認を満たすことが困難になり逆効果です。
地道な方法にはなりますが、目標達成に向けて小さな成功を積み重ね、確実に自分の能力が高まっていることを実感できれば、他者の評価に左右されず自己承認は満たされていきます。
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まとめ
承認欲求は丁寧に、大切に扱ってあげることで承認欲求は満たされていきます。
相手の承認欲求を満たすことで、人間関係はより改善されます。
そこは大切な視点ですが、自分の承認欲求は他者承認から自己承認に切り替えていく必要もあるということもまた重要です。