働く人にとって、「どんな会社でどんな仕事をするのか」と同様に、「どんな環境でどんな人たちと働くのか」はとても重要な問題です。
心理学者のアドラーによると、「仕事の失敗の9割は人間関係」と言われるほど、人間関係は働く上で重要なものです。
職場の人間関係が良好だと、例え仕事で失敗をしても、周囲が応援してくれるので、次は頑張ろうと前向きになれますよね。
それが逆に職場の人間関係が悪いと、仕事がうまくいっても、ストレスは蓄積していく一方となる危険性があります。
しかし、自分と相性の良い人たちだけがいる職場を探すことはとても困難なことです。
そこで知っておくべきことは、工夫によって人間関係を改善していくことができるということです。
今回は、仕事の人間関係が辛く、うまくいかないという方へ向け、取っていただきたい対処法についてお伝えしていきます。
この記事の目次
1.なぜ人間関係が悪くなっているのか?
人間関係が辛い・うまくいかないのには原因があります。
それは、「自分に原因がある場合」と「相手に原因がある場合」があるので、どちらのケースなのかを知る必要があります。
1-1.自分に原因があるケース
まずはあなた自身に原因があるケースについて見ていきます。
自分の過去を振り返ってみてください。
- 幼児期
- 学生時代
- 友人関係
- 恋人との関係
- 部活やサークル内
こうした過去の人間関係はどうだったでしょうか?
いつも人間関係には苦労してきたというのであれば、人間関係がうまくいかない原因は自分にあるのかもしれません。
例えば、我が強くてついつい周囲と衝突してしまいがちだったり、自分を表現するのが苦手で、コミュニケーションが奥手だったりすると、人間関係がうまくいかなくなったりします。
人は現実と自分の中に矛盾を感じると、無意識で整合性を取っていくものです。
例えば、相手が自分に好意的であることがわかれば、自分も相手に好意的になりますし、逆に相手が自分に感心がないようだったら、自分も相手に対して無関心になります。
嫌われていると感じたら、相手に対して嫌悪感を抱くようにもなるのです。
人間関係に苦労してきたのであれば、もしかすると知らず知らずのうちに、相手にネガティブなイメージを与えていた可能性があります。
つまり自ら人間関係を壊していたことになるのです。
心理学者の言葉に
過去と他人は変えられない。しかし、いまここから始まる未来と自分は変えられる。
というものがある通り、他人をどうにかしようとすることは難しいですが、自分を変えれば解決することも多くあります。
自分を見つめ直してショックを受けるかもしれませんが、これには有効な打開策があります。相手を変えることよりも、自分が変わることの方が簡単だからです。
1-2.相手に原因があるケース
問題は、良好な人間関係を構築したいと思っても、職場の相手にはそんな気がないケースです。
例えば、とにかく成果を出すように執拗に要求してくる人や陰口を言う人、パワハラやセクハラといった理不尽な行動をする人もいます。
こういったケースでは、職場での力関係において、自分より上司だったり先輩だったりすることが多いので、真っ向から「あなたに変わってほしい」と要求するのは難しい状況がほとんどです。
パワハラやセクハラといった極端な犯罪行為は別ですが、相手のネガティブな言動に不満がある場合、間接的に自分が変わることで相手に良い影響を与え、人間関係を改善することは可能です。
相手の人格に問題があるとしても、どう接するかによって状況を変えていくことはできるのです。
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2.良好な人間関係を構築するための方法
2-1.相手のを心満たす言動が重要
良好な人間関係を構築するためには、「信頼関係を深める」必要があります。そのためには、相手の心を満たす言動を取ることが重要です。
人には、「自分の存在を肯定されたい」「自分は必要な人間だと認めてもらいたい」という「承認欲求」があります。
相手に対して辛くあたる人は、承認欲求が満たされておらず、それが不満や不安、怒りや自己否定に繋がり、他人に攻撃的になっているのです。
ですから、信頼関係を深めるには、
- 相手をねぎらう
- 相手に感謝する
- 相手を褒める
といった言動を積極的に行い、相手を肯定し、認めることで、相手の承認欲求を満たしてあげることが大切になります。
感謝されたり褒められたりすると嫌な気持ちになる人はいません。
これをすることで驚くほど人間関係はよくなります。ぜひ試してみてください。
2-2.傾聴で相手を受け止める
人は自分の話を聞いてくれる人に対し、安心感や好意を抱きます。そのためには、徹底して相手の話しを聴くという「傾聴」が効果的です。
傾聴とは「深いレベルで相手を理解し、気持ちを汲み取り、共感する」ための関わり方であり、相手への態度になります。
傾聴というとただ単純に相手の話しに耳を傾けて「聞く」というイメージを持たれがちですが、そうではなく、話を聞き、相手を見つめ、心情に寄り添いながら「聴く」ことです。
傾聴はとにかく相手を理解し、共感することが重要なので
- 自分の価値観を押し付ける
- 相手の主張を批判する
といったことをしてはいけません。とにかく目と耳と心を傾けて相手の話しを聴くことに集中します。
自分の話を受け止めてくれたという思いは、相手への信頼感に繋がっていきます。
あまり他人に話さないような過去の出来事や失敗談などを聞けるようになったら、相手は心を開いて信頼してきている証拠です。
傾聴には、「バックトラッキング」というテクニックがあります。
それは、相手の話しに頷きながら、相槌を打つように、ただ相手の話しをそのままオウム返しするのです。
あなた:そうなんですね、最近忙しいのですね。
というようなイメージです。
「自分の話に興味をもって聴いてくれている」と印象付けることが目的です。
傾聴については深いレベルで理解する必要がありますので、良好な人間関係を構築する「傾聴力」の重要性と高めるための正しい方法の記事も必ずご覧ください。
2-3.笑顔効果
人の整合性を利用したものとしては「笑顔効果」というものがあります。
笑顔でいるということは、「あなたといて楽しい」、「安心できる」、「警戒していない」というメッセージになります。
先ほど、人は現実と自分の中に矛盾を感じると、無意識で整合性を取っていくとお伝えしました。
つまり、あなたが笑顔で接することにより、相手も整合性を取って気持ちがほぐれていきあなたに対して優しい気持ちで接してくれるのです。
また、笑顔は好印象を与えたり、心の壁を取ったりする効果があります。
コミュニケーションが苦手な人には、笑顔になることも苦手というケースが多いと思いますが、これは訓練で精度を高めていくことができます。
15秒間かけて口角を徐々に上げていき、笑顔の状態で15秒間維持したら、また15秒間かけて口角を徐々に下げていく。これを毎朝繰り返し行っていけば、自然と好印象な笑顔を作ることができます。
人は笑顔の相手には笑顔になってしまうものです。
笑顔でいることは、周囲に良い影響を与え、良好な人間関係構築に効果を発揮してくれます。
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3.人間関係のストレスを乗り越える方法
職場の人間関係が辛いときは、ストレスを乗り越えるための工夫も必要となります。
3-1.セルフイメージを高める
人間関係のストレスを乗り越えていく方法として、「自分自身が成長する」ことが重要です。
セルフイメージとは、「自分はこういう人間だ」というイメージです。
セルフイメージが低い人は、幼少期などの体験を通じて、潜在意識に「自分は受け入れてもらえない」「自分はダメだ」というネガティブな思い込みが植えつけられています。
そのため「良好な人間関係を構築しようとしても、きっと失敗するだろう」と考えて躊躇したり、挑戦しても相手のリアクションが良くないと、「やっぱりだめだった」と否定的な結果に過剰に反応することになります。
つまり、セルフイメージが低いことは、人間関係を構築する過程で諦めてしまうことに繋がってしまうのです。
セルフイメージを高めていくためには、
- ポジティブな人と積極的に関わる
- 小さな目標をクリアして成功体験を積み上げていく
ことが効果的です。
人は環境に大きく影響を受けます。ポジティブな人と関わればあなたもポジティブな気持ちになります。
また、セルフイメージが低い人は自己評価が低いため、「成功体験」を積み重ねていくことで自信を持つことができます。
「朝早く起きれた」「資料が納期に間に合った」「みんなと笑顔で話せた」
このように些細なことでも構いません。
毎日小さな目標を決め、それを達成していくことで自ずとセルフイメージが高まります。
すると自然と自信がつき、周囲への感謝の気持ちも高まってきますので、人間関係でのストレスを感じにくくなり、ストレスへの耐久力も増していきます。
3-2.視点を変えてみる
人間関係が辛くなってくると
- なぜあの上司はいつも私に厳しい指摘をしてくるのだろうか?
- もしかするとあの人は私のことが嫌いなのかな?
- 私をこの会社から追い出したいのだろうか?
このようにネガティブな思考は積み重なって、より大きなネガティブな思考となっていきます。まさに悪循環です。
そんな時には視点や発想を変えてみましょう。相手の立場で自分を見つめてみるのです。これを「ポジションチェンジ」といいます。
人はつい嫌な相手がいると「相手が悪い」と決めつけてしまいがちです。
しかし、あなたに厳しくする先輩や上司はもしかすると、「部下をもっと鍛えて活躍させたい」、「国際社会で通用する人材に育成したい」という思いからの言動からかもしれません。
その気づきによってポジティブな思考に切り替えることができ、これまで感じていたストレスを軽減してくれる可能性があります。
自分本位の視点ばかりだと、どうしても「なぜこうしてくれないのだろう」と、してくれないことへの不満ばかりが多くなります。
一方、ポジションチェンジをしてみることで、「こんなことまで配慮してくれていたんだ」という感謝の気持ちが生まれてきます。
3-3.運動の習慣で自信を身に付ける
ネガティブな思考を切り替えるためにも「運動する」ことは重要です。体幹を鍛えることで、心の軸も安定していきます。
アメリカのスクラトン大学の研究によると、「一回の運動でも脳の海馬のBDNFが増える」ことがわかっています。
BDNFとは脳由来神経栄養因子と呼ばれるタンパク質の一種で、脳細胞にあるシナプスを増やし、思考がクリアになり、疲労感を消してくれるというものです。
また、継続して取り組んでいるという成功体験の積み重ねは、「やればできるという自信」にも繋がりますし、運動によって理想のスタイルになれば、「セルフイメージの向上」にもなります。
一石二鳥、一石三鳥の効果があるのが、毎日の運動の習慣なのです。
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4.解決策が見つからず限界なときは
どんなに努力し、工夫しても解決策が見つからない場合もあります。
何をしても人間関係が改善されず悪化していく場合や、パワハラやセクハラが行われている場合は、すぐに誰かに相談すべきです。
より上の地位にいる人に相談する方法もありますし、専門機関にも相談窓口があります。
独りで抱え込んでも状況は改善されません。相談して協力してもらうことが有力な選択肢のひとつになります。
人間関係であなたの人生を無駄にしてはいけません。
どうしても耐えられないのであれば、無理にその環境に居続ける必要もありません。転職するなどして環境を変えることも考えるべきです。
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まとめ
良好な人間関係を構築していくために、まずは自分の言動を変えていきましょう。
ちょっとした工夫で相手が抱く印象は大きく変わるものです。互いに嫌悪感を持っていたとしても、自分から勇気を持って行動してみることで、信頼関係を築くことは可能です。
しかし、どうしても耐えられない場合は、相談してみたり、転職を検討することも時には必要です。