「部下が思う通りに動いてくれない」
「あの人にお願いしたいことがあるけど、うまくいくだろうか」
マネージャーやチームリーダーなど、ビジネスにおいて相手を動かして仕事をする立場である人であればこうした悩みはつきないかと思います。
そのようなポジションの方にとって「人を動かす」方法を知ることはパフォーマンスを高め、結果を出す上で非常に重要です。
「人を動かす」の著者であるデール・カーネギーが本書の中で提唱する「3つの原則」において、人を動かすために必要な考え方を述べており、マネージャーだけでなく、すべてのビジネスマンも抑えておきたい内容となっています。
これに加え、心理学の「テクニック」を活用することも効果的です。
この記事では、人を動かすための基本的な考え方から、カーネギーの3原則、そして心理テクニックまで、いつでも使える内容を解説します。
この記事を読むだけで、あなたも思い通りに人を動かすことができるでしょう。ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
1.人を動かすときに押さえるべき3つの基本
人を動かす最良の方法は、「どのようにすれば、人は動くのか」を徹底的に考えることです。
どれほど強力なテクニックがあっても、基本が身についていなければ全く効果を期待できません。
しかし、「どのようにすれば、人が動くのかを考えろ」と言われても、何をどう考えればいいのかわからないですよね。
そこでまずは、人を動かすときに押さえるべき3つのポイントを紹介します。
「どのようにすれば、人が動くのか」を正しく考えるために、重要なのは次の3つのポイントです
- まず、相手を知ることから始める
- 相手を動かしている場面をイメージする
- 粘り強く向き合う
それぞれ順番に見ていきましょう。
1-1.まず、相手を知ることから始める
まず、誰か動かしたい人がいるときは、相手をとことん知るのが大切です。
人を動かすときに問題になるのは、相手が進んでやりたがらないことをさせたいときですよね。
だからこそ、どのようなときにその人は、動いてくれるのか、つまり「YES」と言ってくれるのかを知っておくのが大切なのです。
とくに、次の2つを知っておくと、YESを引き出すのに有効です。
- 相手はどのように意思決定するのか
- 相手の社会的立場
相手は決断はスピーディーなのか、じっくり時間をかけるのか。誰からの依頼であれば断れないのか。
この2つを知っておくと、どのようにすれば相手を動かすことができるのかが分かるようになります。
「その人のことを1番知っているのは自分だ!」と思えるくらい相手のことを分かるようになれば、その人を動かすのは容易になります。
1-2.相手を動かしている場面をイメージする
次に相手を動かしている場面を明確にイメージできるようになるのが重要です。
どのような場所で、どのように話題を振るのか、そしてあなたの言葉に対して相手はどのように反応するのか。
例えば、寡黙な部下に難しい仕事を任せたいときは、周りの視線が多いオフィスよりも休憩室など人が少ないところで、一般的な話で緊張をほぐしてから話題を振るのが良いでしょう。
もし、その人が自分に自信がないタイプであれば、「この仕事を任せたいんだがどうだろうか?」と聞くと、「自分には荷が重すぎる」と返事が帰ってくるかもしれません。
何も準備していなければ、そこで会話がストップしてしまいますが、あらかじめシミュレーションを重ねておけば、返答に困ることがなくなります。
このように、相手のことをしっかり理解した上で、シミュレーションを重ねることで、最終的には相手があなたの思い通りに動くシーンを想像できるようになります。
イメージが固まりきっていない状態だと、失敗する可能性が高いため、しっかり準備することが大切です。
1-3.粘り強く向き合う
最後に、人を動かすときは、粘り強く働きかけると心に決めてください。
これから解説するカーネギーの3原則や心理学テクニックを使えば、比較的人を動かしやすくなります。
しかし、相手がやりたくないと思っていることをさせるのは、簡単ではありません。特に、相手の性格や行動を変えるのは骨が折れることです。
途中で諦めてしまっては意味がありません。相手が動くまで粘り強くいる姿勢が大切です。
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2.カーネギーに学ぶ3つの原則
これまでで見てきた3つのポイントは、いわば人を動かす時の基本です。それに加えて、カーネギーの3原則を実践できるようになれば、さらに人を動かしやすくなります。
カーネギーは、ベストセラービジネス書「人を動かす」の著者で、人を動かす天才だと言われている人です。そのカーネギーが人を動かす上で、とくに大切にしているのは次の3つ。
- 相手を責めない
- 重要感を与える
- 相手の立場になる
一つ一つは、それほど難しくはありませんよね。中には「そんなの当然じゃないか」と思う人もいるでしょう。
しかし、これを徹底できている人はほとんどいません。だからあなたは相手を動かすことができないのです。
それでは、それぞれについて具体的にどのようにすれば良いか順番に見ていきましょう。
2-1.他人を責めない
相手が思うように動いてくれないときに、相手を責めていませんか?
「なんで、言う通りに動かないんだ」
「どうしてこんなこともできないんだ」
「あなたのせいでプロジェクトが上手くいかなかった」
このよう言葉は、人を動かしたいときには絶対に使うべきではありません。
もし、あなたが上司や同僚から「お前のせいだ」と非難されたらどのように反応するでしょうか。
「あなたが原因でしょう」と言い返したくなりますよね。もしくは、「失敗の原因は〇〇だ」と、自分を正当化するのではないでしょうか。
相手を責めても相手の行動はまず変わることはありません。ただあなたへの信頼感だけが失われることになるだけです。
そのため、人を動かしたいときは絶対に相手を責めないようにしましょう。
2-2.重要感を与える
相手に気持ちよく動いてもらうためには、相手の自尊心を満たし重要感を与えることが大切です
自尊心とは、「自分に対する肯定的な気持ち」のこと。子供も大人も、自分のことをないがしろにされたり、自分を否定されるのが我慢できません。
一方、自分のことを肯定してくれると、どんな人も気分が良くなり、その人に協力したくなります。
もし、あなたも同僚や上司、友人から
「できるのはあなたしかいない」
「あなただから任せられる」
と言われると、どれほど大変なことをお願いされたとしても嫌な気持ちにはならないでしょう。
このように相手の存在の重要性を伝え、自尊心を満たすことは相手を動かす上で非常に効果的です。うまくいくと、「あなたのために動きたい!」と思ってくれるようにになります。
2-3.相手の立場になる
最後に、相手の立場になって考えることを常に意識してください。
なぜ相手の立場に立つことが重要かと言うと、相手の立場に立つことによって、「相手が本当に求めているもの」がわかるようなるからです。
人は誰でも「自分にとって良くありたい」と思っているものです。そのため、どの様な判断をするときも「それは自分にとって良いものか」を考えます。
そのため、例えばあなたが相手のためと思っていることでも、実は相手は「ありがた迷惑」と思っている可能性もあります。
だからこそ、相手に気持ちよく動いてもらうためには、相手が本当に求めているものは何かをしっかり考えることが重要なんです。
このとき、相手の立場になるとは、「自分だったらどのように思うか」と考えることではありません。なぜなら、自分とその人では、人生観も仕事観も全く違うからです。
正しく相手の立場になるためには「このように言われたら相手はどのように感じるだろうか?」と、相手に成り切って考えることが大切です。
正しく相手の立場になるためには「このように言われたら相手はどのように感じるだろうか?」と相手の立場で考えることが大切です。
ここまで解説したカーネギーの3原則は、人を動かしたい人なら必ず身に付けておきたい「本質的な考え方」です。
この3原則をしっかり意識できるようになれば、次に紹介する心理学のテクニックが最大限の効果を発揮します。
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3.怖いほど人が動く!心理学に学ぶ5つのテクニック
ここからは人を動かす時に使いたい心理学のテクニックを5つ紹介します。どれも、強力なテクニックなので必ず役に立つでしょう。
3-1.ハロー効果
ハロー効果とは、目立つ特徴の評価につられて、別の特徴の評価が歪められることです。
例えば、非常に優秀な弁護士が政治について論評したとします。すると、多くの人は、弁護士は政治の専門家でないにもかかわらず「あの人が言っていることなら正しいだろう」と思ってしまいます。
このように、「ある特徴の評価によって、別の特徴の評価も決まる現象」がハロー効果です。
これを実践するためには、あなたの専門分野を作るのが大切です。
そのため、まずは営業でも特定の業務知識でも良いので誰よりも突出している、という状態を作りましょう。
あなたが得意分野の営業で成績トップになったとします。すると、企画提案など、営業以外の分野でもあなたの発言が重視されるようになります。
このように何か専門分野を作り「この人はすごい人だ」と思わせることができれば、他の分野にも影響力を出すことができるため、人を動かすことは比較的容易になります。
3-2.バーナム効果
パーナム効果は、「相手のことを深く理解している」と錯覚させるときに使えるテクニックです。
人は、自分のことを理解してくれている人を信頼します。信頼を勝ち取るのは人を動かす上でとても大切なので、テクニックとしてぜひ身につけておきましょう。
パーナム効果では、誰にでも当てはまる特徴を使って相手のことを良く理解していると錯覚させます。
代表例は誕生日占いです。誕生日占いで、自分の誕生日を見ると「10月1日生まれのあなたは、几帳面」と結果が出たとします。
すると、「この誕生日占いは当たってる!」と思うはずです。でも、よく考えると全ての人は「几帳面な側面」を持っているため、その人特有の特性ではありませんよね。
しかし、多くの人はその結果を見ることで「自分のことだ!」と錯覚してしまいます。
ビジネスにおいて活用するのであれな、悩んでいる部下がいた時に、「〇〇さん、最近調子はどう?〇〇さんは、頑張りすぎる側面があるから心配で…」と、聞いてみてください。
すると、「私が頑張り屋さんだということを知ってくれている!」とあなたのことを信頼するようになります。
このように、全ての人に当てはまる特徴を「あなたはこうですね?」と、さも相手のことを深く知っているように伝えることで、パーナム効果が期待でき、その結果信頼を得ることができるのです。
3-3.カリギュラ効果
人は、情報の一部だけが隠されていると知りたくなってしまいます。これを使ったテクニックがカリギュラ効果です。
例えば、テレビの料理番組で、おいしい料理を作るポイントが隠されていることがよくありますよね。このように、一部だけ隠すことで「知りたい!」と釘付けにするのがカリギュラ効果です。
例えば、普通に「〇〇さん、どんどん影響成績伸びてるね!後は課題のコミュニケーション力を改善すれば完璧だね。」と話を持ち替えても耳を傾けてくれないでしょう。
しかし、「〇〇さんは、どんどん影響成績伸びてるね!後はあそこだけ改善すれば、営業成績1位になれるだろうね!」と聞かれると、「え?なんだろう?」と話を聞く準備ができます。
このように何か重要なことを伝えるときに、その情報の一部分だけ出し惜しみをすれば、相手は「知りたい!」とあなたの話に興味を持つことになります。
3-4.プライミング効果
プライミング効果とは、最初に連想したことが、次に連想することに影響を与えることを指します。
これを応用すれば、導きたい答えに誘導することができます。
例えば、「人工物を何か1つ想像してください」と質問した後に、「空飛ぶ物を想像してください」と尋ねると飛行機やロケットなど、1つ前の質問と関連する内容が出やすくなります。
これは、特にアイデア出しの時に使えるテクニックです。
例えば、会議で「運動系のイベント」を作りたいと思っていたとしましょう。
普通に「今度やるイベントについてアイデアを出したい」と会議を始めると、運動以外のアイデアもたくさん出てくるため収集がつきません。
しかし、アイスブレイクとして「最近注目してるスポーツ選手って誰かいる?」と何気なく質問を投げかけておくと、参加者は意識しなくても「運動系」のアイデアをたくさん出してくれるようになります。
このように、プライミング効果を使えば相手の答えを誘導することができます。
3-5.バンドワゴン効果
人は多数派に同調しやすい傾向があります。この心理を使ったテクニックがバンドワゴン効果です。
例えば、あなたが買おうかどうか迷っているもの(パソコンや洋服など)があり、そこに「」
「重要な会議では、根回しが大切」と言われているのは、バンドワゴン効果があるからです。会議で意見が分かれるときに、どちらに賛成するか迷っている人は多数派に傾きます。
そのため、あらかじめ根回しをして多数派になっておけば、バンドワゴン効果でさらなる賛成を得やすくなります。
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まとめ
人を動かす方法について解説しました。
人を動かすのは簡単なことではありません。しかし、今回解説したカーネギーの3原則やテクニックを活用すれば、どのような人も動かせるようになります。
とはいえ、まずは相手を動かすための基本として
- まず、相手を知ることから始める
- 相手を動かしている場面をイメージする
- 粘り強く向き合う
この3つを意識しておかなければ、単なるテクニックとなってしまい、効果を発揮しません。
人の動かし方がわかるとビジネスがスムーズになりますので、ぜひ使えるようになってください。