やらなければいけない仕事や勉強があるのに
- どうしても集中が長続きしない
- 他のことに気が散ってしまい、いまひとつ集中できていない
と悩んでいる人も多いでしょう。
何かを何遂げている人は驚くほどの集中力で成果を出しているように、集中できているかできていないかは結果にはっきり表れてきます。
集中力がない状態でだらだらと仕事や勉強をしても決して良い結果は生まれません。
もっと集中できるようになれば、きっと良い結果を出すことができるでしょう。
とはいえ、「集中しなきゃ !と思っているけど集中できない」そんな状況ではないでしょうか?
人の脳は本来、集中することが難しくできているのです。
ですので、「自分は集中力がない」と嘆く必要はありません。
そのことを正しく認識し環境を整備することで、誰でも集中力を高め今まで以上の成果をあげることは可能です。
この記事の目次
1.人はもともと集中できない動物である
1-1.私たちが集中できない原因
そもそもなぜ、人は集中することが難しいのでしょうか?
いくら「集中しよう!」と思っていても、集中できなかったという経験がある人は多いはずです。
そこには人の脳の仕組みが密接に関わっています。
私たちの遠い祖先は、過酷な生存競争の中で暮らしていました。
敵から身を守るために、常に周囲に注意を払っている必要があったのです。そうして脳は進化を遂げてきたのです。
そのため、人の脳は新しい刺激に敏感です。脳が受ける9割以上を視覚情報が占めています。
ですので、何かひとつのことに取り組んでいても、他の物が目に入ったら、脳はそこに自動的に焦点を合わせてしまうのです。
これはもはや本能的行動であるため避けることができません。
また、私たちは時間帯によって覚醒の度合いが変わってくることから、集中できる時間帯というものがあります。
この時間帯については「サーカディアン・リズム」と呼ばれており、私たちの体内時計のようなものです。これにより、脳は朝に覚醒し始め昼間にピークを迎えます。
ここからわずかに下がり、午後6時ごろに再ピークを迎えますが、午後9時以降は著しく低下していくのです。
そのため、朝は作業のゴールデンタイムである一方、夜遅い時間に行うことは非常に効率が悪くなります。
仕事や勉強を頑張るために深夜にコーヒーなどを飲んで無理やり集中しようとしても、脳の仕組みから考えてとても困難だといえるのです。
1-2. セルフ・ハンディキャッピング
集中できないのは脳の仕組みによるものだけでなく、心理的な影響を受けるケースもあります。
その代表格が「セルフ・ハンディキャッピング」です。
これは、集中しなければいけない場面だと自分でわかっているのに、他の行動をとってしまう心理状態のことです。
具体的なセルフ・ハンディキャッピングは、試験前日だというのにスマホやネットに夢中になってしまったり、雑誌や漫画を読んでしまうような行為です。
そうすることで、
ネットをやっていたから得点できなかった(から仕方ない)
デスクの掃除をしていたから資料の作成が間に合わなかった(から仕方ない)
このように失敗した際の予防線をはるのです。
こうした言い訳をした経験がある人も多いのではないでしょうか?
セルフ・ハンディキャッピングは困難な事態を自ら作り出して、ハードルを上げます。
すると、試験や仕事に失敗しても、言い訳ができるので、自分の能力が低いことを認めることにはなりません。
つまり、自尊心を傷つけないための行動なのです。
ハンディキャップがあるのに成果を出すことができれば、自尊心を高めることもできます。
成果を追い求める以上に、人は自分を守るためにあえて集中力を途切れさせることがあるということになります。
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2.集中力を高める具体的な方法
ここからはすぐに始められる集中力を高める方法についてご紹介していきます。
2-1.ポモドーロ・テクニックを活用
人間は集中できないのがわかったところで、どうすれば集中力を高めていくことができるのでしょうか?
お伝えしたとおり、脳が集中できる時間には限度があります。ですので、高い集中力を維持して作業をするためには、リズムやメリハリ、時間の管理がとても大切になってきます。
有名なテクニックが、90年代始めにフランシスコ・シリロ氏によって開発された「ポモドーロ・テクニック」です。
ポモドーロ・テクニックはシンプルで「25分集中したら、必ず5分休憩する」こと。これを4回ほど繰り返したら、長めの休憩(15分程度)を取ります。
25分であれば、充分に高い集中力を保つことができるはずです。
ポモドーロ・テクニックは、25分という短い時間で区切り、まず行動しやすくすることでやる気を高める作業興奮も上手に利用しているのです。
25分で休憩なので、逆に「もっとやりたい」と思うはずです。そうなってもきちんと休憩するようにしましょう。
このようなポモドーロ・テクニック用のスマホアプリもありますので、そちらもぜひ利用してみましょう。
こちらはBe focusedというアプリですが、「ポモドーロ・テクニック」と検索すれば様々なアプリが出てきますので自分に合うものを選びましょう。
2-2.ウルトラディアン・リズムを活用
「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」が交互に90分ごとに訪れるので、90分単位で睡眠時間を決めるとすっきり起きられるというのは聞いたことがある人も多いでしょう。
1-1で体内時計として1日のリスムを表すサーカディアン・リズムについてお話しましたが、ウルトラディアン・リズムは90分単位で1日になんどもアップダウンを繰り返す細かいリズムになります。
90分というリズムは睡眠以外にも集中力にも影響していることから、人が集中できるのは90分ほどとされています。
学校の授業や講義などが90分設定になっている理由は、こういった体内時計の仕組みを加味しているからなのです。
このリズムを応用することで集中力を高めることができます。
ポイントは「90分集中したら、必ず20分休憩すること」です。
こちらはポモドーロ・テクニックよりも長い時間を作業することになりますが、その分だけ休憩時間も長めの設定です。
これを3回ほど繰り返したら長めの休憩を取ります。20分あれば仮眠を取るにもぴったりです。
30分以上の仮眠を取ってしまうと深い睡眠から目を覚ますことになり、作業が始まっても睡眠慣性という眠い状態が続くことになるので注意してください。
2-3.十分な睡眠時間を確保する
普段から寝不足だと集中力も低下してしまうので要注意です。
睡眠不足が続いている状態を睡眠負債と呼びます。この状態では、脳の活動が低下するために、集中力は低下し、作業効率は当然のように悪くなります。
特に、仕事が忙しい方や受験生などは睡眠不足になりがちなので、注意が必要です。おそらく眠くて集中できないという経験をした人は多いと思います。
多くの科学者が理想の睡眠時間は7時間以上だと提唱し、7時間未満であればパフォーマンスは低下するとされています。
実際にペンシルバニア大学とワシントン州立大学で行われた実験によると
6時間睡眠を2週間続けると、2日間徹夜した状態と同じパフォーマンスまで低下する
という結果が出ています。
ウルトラディアン・リズムを考慮すると、高い集中力を発揮するためには7時間半または9時間といった睡眠時間が理想となるでしょう。
一流バイオリニストの平均睡眠時間は8.6時間であり、さらに仮眠をとって集中力を高めています。
最高のパフォーマンスを発揮するためにはそのような準備が大切なのです。
集中力を高めて作業をしたいのであれば、まずしっかりとした睡眠時間を確保すべきでしょう。
2-4.適度な運動をする
「運動が集中力に関係あるの?」と思われたかもしれませんが、労働や学習のための意欲や集中力を司っている前頭前野を活性化するには、適度な「リズム運動」が効果的なのです。
毎日簡単に繰り返しできるような運動を、5分から30分ほど日々継続していくだけで充分です。
この場合のリズム運動とは一定のリズムで筋肉を動かす運動のことで、ダンスのように覚えるのに脳を集中させるようなものは含みません。
無意識でもできるくらいの運動が覚醒状態を高めることができるのです。
具体的にはウォーキングやジョギング、ヨガ、カラオケ、瞑想などがあります。毎日軽くストレッチをするのも効果的です。
忙しいとついおろそかにしがちな運動ですが、いずれも簡単にできるものなので、時間を取ってでも始めてみましょう。
2-5.脳のための栄養を摂取する
人の脳は体重の2%ほどに過ぎないにも関わらず、1日に消費するエネルギーの20%も使います。
ですので、脳を活性化させ集中力を高めるためにはエネルギーを摂取することは必須といえます。
これをご覧の方の中には朝食は食べない、という人もいるのではないでしょうか?それはあまりよくありません。
脳のエネルギーはブドウ糖だけになります。
ブドウ糖の原料となるのが、ご飯やパン、麺などの炭水化物です。脳はブドウ糖を備蓄することができません。肝臓に蓄えられているグリコーゲンをブドウ糖に変えてエネルギーとしています。
脳が消費するブドウ糖は1時間あたり5gです。肝臓に蓄えられるグリコーゲンは60gが限界ですから、12時間食事を摂らないと脳はエネルギー不足となっていきます。
忙しい朝でも、しっかりと朝食を食べることが、一日の脳を活性化させるためには必要になります。
また、脳でブドウ糖が代謝される際に必要な栄養素が、ビタミンB群です。豚肉や鶏肉、ウナギやマグロ、大豆などに含まれています。
水分不足でも脳の血流が減ることになりますので、水分を充分に補給していくことは大切です。脳が活性化できるような環境を整えましょう。
2-6.机の上や周りを整理する
1-1でお伝えしたとおり、視覚情報は私たちの集中力を奪います。
例えば、スマホや関係ない本などがあったらつい見てしまうという経験がある人も多いでしょう。
これを防ぐためにも、視覚への刺激をできるだけ減らし作業に集中できる環境を整備することが重要です。
まずは机の上や周りを整理整頓してみましょう。余計なものは置かないことが大切なのです。
とはいえ、整理をしただけで満足してしまうのは1-2で説明した「セルフ・ハンディキャッピング」になってしまうので、さっと片付けすぐに仕事や勉強に取り掛かるようにしましょう。
2-7.目線や視線を変える
目線や視線を変えてみることも集中力アップにつながります。
目線や視線を変えるというのは、普段見ているものを変えてみるということです。
例えば、仕事中に集中力が切れてしまったら、イスの高さや机の高さを調節して、いつもの目線の位置を変えてみます。
他にも、行ってみたいところの写真や好きな人の写真を机に置くということも有効です。
ダイエットや運動であれば、いつもこなしているメニューを別の場所で行ってみるのも良いでしょう。
目は脳に最も近い感覚器です。そのため、目から入った情報はダイレクトに脳に届き、感情にも影響を与えます。
人間はいつも同じ景色を見続けると、飽きてしまいます。これが集中力の低下につながるのです。
そのため、視点の高さや場所を変えたり、好きなものが目に入るように環境を設定することで、いつもと違う情報を脳に送ることができ、モチベーションを上げることができるというわけなのです。
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まとめ
集中力はただ我慢強く耐え抜けば高まるわけではありません。
人の脳の特徴をしっかりと把握しておき、時間を効果的に使うことで、集中力は大きく変わってきます。
集中力をコントロールし高めることができるようになれば、仕事や勉強、恋愛など様々な分野で自分のパフォーマンスを発揮し成果を出せるようになるのです。
まずは簡単にできるテクニックや、周辺の整理整頓、そして規則正しい睡眠・運動・食生活などを実践してみてください。
また、集中力とモチベーションは深く関係しています。さらに集中力を上げたい方は1分で効く!モチベーションを上げるために今すぐできる6つの方法も参考にしてみるとよいでしょう。