ネガティブな感情が強く、何をするにしてもどうしてもネガティブな思考になる人は、そんな自分自身に対して否定的です。
「どうして自分はいつもネガティブに考えてしまうのだろう。もっとポジティブに考えられればいいのに…」
これは社会全体がポジティブな思考や行動を奨励していることによってもたらされた考えです。
実際にポジティブな思考の人は行動力の面で優れています。前向きに素早く向っていくことができるからです。
そのため、ネガティブな思考になる傾向の強い人は、必死に自分の感情を抑えて常にポジティブであろうとします。そしてネガティブな思考になるたびに自分を責め続けることになるのです。
しかし、最近の心理学の研究では、実は「ネガティブな思考も大切」だという説も登場していきています。
あなたはもしかすると、必要以上に自分を追い込んで苦しんでいるのかもしれません。
今回はネガティブ思考について詳しくお伝えしていきます。これを読んで、ぜひ今まで以上に素の自分を大切にして人生を満喫してください!
この記事の目次
1.「ネガティブ思考=悪」ではない
前向きなポジティブ思考が称賛されることがあっても、ネガティブ思考が歓迎されることはほとんどありませんね?
ネガティブ思考は改善していく問題だと捉えられているからです。
しかし、ネガティブ思考はデメリットばかりなのでしょうか?
実はネガティブ思考にもメリットがあるということを知ってほしいのです。
例えば、非常に楽天家でポジティブな人を想像してみましょう。
常にポジティブ思考であろうとすることは、「なんとかなるでしょ」と失敗を予想して慎重になることがなくなります。
そうすると、もっと自分のスキルや知識を高めなければいけないという「自己鍛錬」を疎かにします。
極論として、分析も準備もせず「何とかなるだろう」という楽天家になってしまうのです。
そして、「次は何とかなるだろう」と失敗しても反省することをせず改善することもしないので、成長することなく、成果を出すこともできません。
このようにネガティブの要素をすべて削除し、ポジティブだけになっても問題です。
一方、ネガティブ思考であるがゆえに警戒心が高まり、同じ失敗に繋がるような行動をとらなくなくなります。
特にビジネスにおいて成功が必要な経営者はネガディブな要素が多い人も多いです。
ポイントは、ネガティブな思考を受け止めながら、改善策を講じ、ポジティブに行動することです。
海外では本当にメンタルの強い人の定義は「ネガティブを感じながらも、自分の力を発揮できる人」とされています。
ネガティブは何か行動を起こし、成功させるうえで必要な要素なのです。
ちなみにカリフォルニア大学の研究によると、「楽観主義を続けることは自分の体にもたらす健康リスクも低く見積もるため短命に繋がる」としています。
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2.理想的なポジティブとネガティブの割合は?
ポジティブだけではよくありませんが、ネガティブが多いのも考えものです。
では、ポジティブとネガティブの理想的な割合というものはあるのでしょうか?
ノースカロライナ大学教授でポジティブ心理学を研究するバーバラ・フリデリクソン氏と、ブラジルの社会学者であるマルシャル・ロサダ氏による調査によって、ポジティブとネガティブの理想的な比率が発表されました。
それが「ロサダの法則」と呼ばれているものです。それによると
「ポジティブ:ネガティブ=3:1」(2.9013:1)の割合だと、人は最も幸福感と充実感を高められる
としています。
逆に11:1といったように、ポジティブの比率が極端に高い場合は、生産性は低下していくとも説いています。
この比率が正確なものかどうかは、現在も議論されている最中ですが、少なくともネガティブがゼロではありません。
1-2で述べたように、ポジティブだけではいけないからです。
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3.ネガティブ思考についてどう対処するべきか
3-1.感情をありのまま受け入れることが重要
ネガティブが重要でありつつも「少しでもポジティブなろう!」と考えることは良いことです。
しかし最近の心理学では、無理に自分の感情を書き換えることの危険性が注目を集めています。
フロリダ州立大学の研究チームの発表によると、感情や思考を抑制する人は抑制しない人に比べて、ストレスを感じやすくなることがわかりました。
常にポジティブになろうとして、無理にポジティブな考え方や生き方を続けても、ネガティブな要素は生まれてきます。
そこで自分を責めて変えようとしても、すべてを書き換えることは無理ですし、大きな負担を精神面にかけることになります。
ポジティブな感情もネガティブな感情も、どちらも自分が幸せになるために発生したものですので、どちらも大事にすべきなのです。
ネガティブ思考については、まずは、その感情をありのまま受け入れることをしてみましょう。
3-2.ネガティブな思考を小さくする
ネガティブ思考を完全に消し去る必要はありませんが、ポジティブ:ネガティブの比率が、ネガティブの方が高くなるとうつ病などを発症する危険性が高まります。
ですので、ネガティブな思考をゼロにしようとするのではなく、小さくすることを工夫してみましょう。
最も簡単な方法は、「自分の感情を書き出してみる」ということです。
- ネガティヴになった自分はどんな感情なのか
- どんな体験をして、そうした感情が芽生えたのか
ということを手書きして、見つめてみましょう。
こうして書き出すことは感情の鎮静化に効果的です。また、ネガティブな感情に対して自己批判にならず受け入れることもできるようになります。
つまりネガティブに考えるのをやめようとするのではなく、その原因となった傷や恐怖心を小さくしていくことを考えていくべきなのです。
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まとめ
ネガティブ思考=悪、ネガティブ思考=マイナス思考とイメージはとても悪いのですが、ご紹介したように幸福感を高めるため、成果を出すためには必要な要素でもあるのです。
無理に自分感情を書き換えることをせず、ネガティブの重要性をしっかり把握し、ポジティブとネガティブのバランスを上手に保っていきましょう。
お笑い芸人も面白い人は、たいていはネガティブ思考だといいます。だからこそ試行錯誤を繰り返し、多くの人に伝わる笑いを提供できるのです。
Appleの創業者であるスティーブン・ジョブズもスタンフォード大学でのスピーチで「自分がいつか死ぬことを覚えておくことは、時間の有限性を知り、自分にとって本当に重要なものを見極めるためには必要である」と語りました。
また、ザ・ダイソー社長の矢野博丈氏も潰れる恐怖、お客様に飽きられる恐怖を感じながら経営し、その危機感から会社を発展させてきました。
短所も時には大きな長所になります。ネガティブ思考も大切にし、ぜひ充実した人生を歩んでいってください。
ネガティブ思考に悩んでいる方は「セルフコンパッション」についても知っておくことをおすすめします。