上司のパワハラに悩んでいる、そんな人も多いかと思います。
ノルマの強要や人格否定を繰り返すパワハラ上司がいると、仕事や人間関係が問題がなくても憂鬱になってしまいますよね。
しかも、パワハラは対処方法を間違えると、さらに酷い仕打ちを受ける可能性もあるため、注意が必要です。
パワハラをしてくる上司には、証拠を集めて手順どうりに対処することが大切。
ここでは、パワハラの定義や、正しい対処方法を解説します。上司のパワハラに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
この記事の目次
上司のパワハラ対策で注意すべき3つのこと
上司のパワハラは、慎重に対処することが大切です。
きちんと準備して対応すれば訴えたり、労災認定を受けることができます。しかし、手続きを間違えると逆に訴えられてしまったり、パワハラがひどくなる可能性もあります。
結論を言うと、上司のパワハラには証拠を集めてから行動するのが最適です。
それ以外の方法だと、逆効果になる可能性もあります。特に次の3つは絶対にするべきではありません。
- 仕返しする
- 自分だけで対処すること
- 準備せず対処すること
それぞれ、理由を説明ます。
仕返しは絶対にNG
しつこくパワハラを繰り返されると、仕返しをしたくなる人もいるかもしれません。
しかし、仕返しは絶対に避けるべきです。
仕返しをすることでパワハラがひどくなったり、陰湿になるだけではなく、場合によってはあなたが訴えられる可能性もあり、非常にリスクが高いです。
どうしても怒りが収まらない人は、法的処置を検討してください。
とにかく、感情に任せた仕返しはデメリットが多いため絶対にしないようにしましょう。
自分で全て対処しようとしない
パワハラを続けられると悩みを自分で抱えてしまい、「自分一人で解決しよう」と思う人も少なくありません。しかし、全て自分で解決しようとするのも避けてください。
例えば、
- 職場仲間に相談する
- パワハラ上司に直訴する
など、自分で対処できることはあります。
しかし、相談していることがパワハラ上司に伝わってしまうと、パワハラが悪質になる可能性があります。
そのため、極力自分一人で対処しようとは思わないようにしてください。
準備を怠らない
最後に、どのような手段を取るときも準備を怠らないようにしてください。
上司に相談しても証拠がなければ、パワハラだと認めてもらえいない可能性があります。
また、下手に相談したことによって、パワハラ上司が証拠の隠蔽を図ることも考えられます。そのため、何か行動を起こすときは十分に準備してから行うようにしましょう。
大切なのはしっかり準備すること
パワハラの対策は行き当たりばったりにすべきではありません。
繰り返しになりますが、大切なのはパワハラだと認定してもらうためにしっかりと準備することです。
そこで、まずはパワハラの定義を知っておきましょう。
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どのような内容がパワハラになる?
厚生労働省が設立した「あかるい職場応援団」によると、パワハラの定義は次のようになります。
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
引用:パワハラの定義
では、具体的にはどのような内容がパワハラとなるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
職場の地位や優位性を利用している
パワハラは、「職務上の権力」を使った嫌がらせです。
上司は、部下に対して職務内容を指示する権限がありますが、この権限を使って嫌がらせをするとパワハラになります。
例えば、
- 一人だけ仲間外れにされる
- 「これをしないとクビにする」と脅される
など、職権を乱用した指示はパワハラとして認定されることがあります。
業務範囲を超えた指示の強要
次に「業務外」の指示を強要することもパワハラと認定されます。
例えば、
- 私的な使い走り
- 土下座の強要
- 時間外勤務の強要
- 個人情報の不正利用
- プライベートへの干渉
などがこれにあたります。
本来、仕事に関わりがないことや、プライベートへの干渉などは行われるべきではありません。
それらを強要された場合はパワハラとなります。
人格や尊厳を侵害
人格や尊厳を侵害している場合もパワハラと認められます。
例えば
- 「使えないやつ」と侮辱すること
- 職場で無視をする
- 存在の否定
など。このように精神的な攻撃によって尊厳を傷つけるような行動や言動もパワハラです。
心身的な苦痛
また、心身的な苦痛を与えることを目的とした言動や行動もパワハラとみなされます。
例えば、
- 無理なノルマを課せられた
- 失敗したときに暴力を振るわれた
- 言葉の暴力がひどい
などがこれにあたります。
上司によっては「ただ叱っているだけ」と思っている場合もありますが、これらの言動と叱責とは違います。
叱責とは、同じことを繰り返さないようにするために叱ること。これは業務を改善するために行われるので、パワハラと認められません。
一方、個人を非難することで精神的・肉体的に追い込み、業務環境を悪化させるような行動はパワハラと認定されます。
断続的に続いている
最後に、断続的に続いていることもポイントです。
一度嫌なことを言われただけだと、パワハラとして認定される可能性はかなり低いと言えます。
パワハラと認定されるためには、数週間~数ヶ月しつこく行われている必要があります。
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パワハラをやめさせるための3つのステップ
ここまでで解説したようなパワハラの被害を受けているなら、一刻も早く解決したいですよね。
ただし、最初もお伝えしましたが、焦って直談判するのは効果的ではありません。
対応に失敗しないためにも、次の3つを取り組んでみてください。
- 証拠集め
- 上司に相談
- 弁護士に相談
それぞれについて順番に見ていきましょう。
証拠集め
まずは、パワハラの証拠を集めるようにしてください。
誰に相談するにしてもパワハラとして認めてもらうためには証拠が不可欠。
明らかにパワハラだと思えるような状態でも、友人や同僚の証言だけではパワハラとして認められない可能性があります。
最も効果的なのは「録音」することです。録音は動かぬ証拠としてとても役に立ちます。
パワハラに悩まされている人は、録音による証拠集めから取り組むようにしてください。
上司や労働組合に相談
録音などにより証拠が集まったら次に、パワハラ上司よりも地位が高い人に相談してください。
十分な証拠があれば、パワハラ上司に対する処罰を検討してくれる可能性があります。
ただし、場合によっては注意だけで終わることもあります。そのような場合、パワハラ上司の嫌がらせが陰湿になることも考えられます。
そのため、あなたが信頼できると思う人にしっかりと相談するのが大切です。
弁護士に相談
信頼できる人が職場にいないときや、相談しても有意義な対策をしてもらえなかった場合は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すると、訴訟や労災認定など具体的な対策を講じてくれます。
さらに、そのために集めるべき証拠も教えてもらえるので、もっとも効果的だと言えます。
弁護士.comなどを利用することで、お住いの地域で相談できる弁護士を見つけることができます。依頼費用は50~100万円が相場です。
初回無料で相談に乗ってくれる場合もありますので、自分に合う人を探しましょう。
弁護士を探すときは、最低限次の3つのポイントを確認するようにしてください。
- 費用はいくらか
- 費用はどのタイミングで発生するのか
- 過去の実績
また、複数の弁護士に相談して一番信頼できると感じた人を選ぶのも効果的です。
もし費用的に厳しい場合には法テラスを利用するのも一つの手です。法テラスには無料相談があり、弁護士費用も通常よりもかなり安く済ますことができますので、「お金がない」という人はぜひ法テラスを活用してみましょう。(ただし、無料相談にあたり収入の資力要件というものがありますので、事前に確認するようにしてください)
どうしようもないときは退職を検討する
これらの3つの方法を試しても効果がなかったときは、退職を検討してください。
上司に非があるのにこちらが退職しなければならないのは不本意ですが、どの対策も効果がなかったらできることは多くありません。
「退職なんてリスキーだし、怖い。。」と思われるかもしれませんが、上司に相談したり、法的処置を取っても何もしない会社だと、企業体質になっている可能性も考えられるので、いつまでたってもパワハラは治らないでしょう。
そのような場合、どうしても今の会社にいるのが辛いのであれば、パワハラ上司を克服するよりも退職してしまった方が良いと言えます。
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パワハラで労災が認められるための3つの基準
パワハラで退職するときに、労災(労働者災害補償保険)と認められると治療費や休業補償が支給されることがあります。
そのため、パワハラに悩んでいて退職を検討している人は、労災が認められるか確認しておきましょう。
労災が認められるためには、次の3つの基準を満たしていることが重要です。
- 精神障害の発症
- 6ヶ月以上の強い心理的負荷がある
- 職場外が原因ではない
それぞれについて詳しく説明していきます。
① 精神障害の発症
労災が認められる典型例は、精神障害を発症していることです。
例えば、うつ病や睡眠障害など、業務に支障をきたす障害が発生していると認定を受けやすくなります。
精神障害かどうかは素人には判断できないので、精神科医で診察を受けるのが良いでしょう。具体的な病気となっていなくても、うつ傾向にあれば認められることもあります。
② 6ヶ月間の強い心理的負荷がある
労災は、「心理的負荷評価表」というものを元に心理的負荷を評価することで認められます。
心理的負荷評価表は労基署で用意されるもので、
例えば、
- 研修・会議等の参加を強要された→レベル1
- 違法行為を強要された→レベル2
- ひどい嫌がらせ、いじめ、暴行をうけた→レベル3
というように、職場での出来事ごとに精神的負担をレベル1~3の三段階で評価します。
このとき、レベル3として評価されるためには、どれくらいの期間、精神的負担を受けていたかが重視されることがあります。
6ヶ月にわたりどのようなパワハラが行われていたのかを記録できていれば問題ないと言えるでしょう。
③ 職場外が原因ではない
最後に、職場での心理的負担であると証明できることも大切です。
どれだけ心理的負担が大きくても「職場外」での負担であれば労災がおりないことがあるので注意が必要です。
心理的負担の原因は、「心理的負荷評価表」に基づいて医師が判断するため特に準備しておくことはありません。
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労災認定するための3つのステップ
労災は、労働基準監督署長に申請することで認められます。
労災認定のためには
- 診断書をもらう
- 労基署に申請する
- 書類を提出する
の3ステップが必要です。
ここでは、それぞれ具体的手続きについて簡単に解説します。
① 診断書をもらう
労災を申請するときに、治療日数と医師の証明印が入った診断書が必要になります。
そのため、申請する前に診断書を取っておきましょう。
② 労働基準監督署に申請する
労働基準監督署に行くと、労働者労働災害保険請求書がもらえます。
まずは、労災の申請書に必要事項を記入して提出しましょう。
書類は3種類が必要であり、提出場所が異なるため注意が必要です。
- 療養補償給付たる療養の給付請求書_業務災害用(様式第5号)
- 療養補償給付たる療養の費用請求書_業務災害用(様式第7号)
- 休業補償給付支給請求書(様式第8号)
これらの書類は厚生労働省のHPよりダウンロードができます。
③ 労基署と病院に書類を提出する
書類のうち、7号と8号の書類は労働基準監督署に提出してください。そして、5号は病院に提出します。
これらについては、労働基準監督署に書類を取りに行ったときに詳しく解説してもらえるので、しっかり聞いておきましょう。
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まとめ:パワハラの対処は証拠を集めよう!
上司のパワハラ対策について解説しました。
正しくパワハラに対処するためには、証拠集めが不可欠です。しっかり準備すれば訴訟や労災認定ができる可能性もあります。
そのためにも、焦らず慎重に行動するようにしましょう。