多くの人が子供時代に「タスクの完了を先延ばし」してきた経験があるのではないでしょうか。
夏休みの宿題を毎日コツコツと取り組みことをせず、期限ギリギリになってようやく取り掛かることや、試験直前になって一夜漬けの勉強をするといったものです。
この癖がなかなか取れず、大学生になっても、レポートの作成や提出がいつも締め切りギリギリになっているケースもあります。
しかし、この先延ばしが社会人になっても続いているのであれば問題です。
先延ばしは業務に悪影響を及ぼすだけでなく、周囲からあなたへの評価は下がる一方になります。
その状況では自信を持つことも難しくなるでしょう。
先延ばしは、成功できない人の代表的な癖と言われています。
今回は、わかっていても「どうしても先延ばししてしまう!」という癖が習慣のようになっている方に向け、先延ばしを直す方法をお伝えします。
この記事の目次
1.あなたが物事を先延ばししてしまう原因
1-1.ストレスに対する回避行動
そもそも私たちは、なぜタスクの完了を先延ばししてしまうのでしょうか?
今やらないことで、問題が自然と解決することは考えられません。いずれは必ずやらなければならないはすです。
「先に終わらせるか」「ギリギリまで先延ばしするか」の二択から選択するとしたら、多くの人が先に終わらせることを決断するはずです。
それなのに先延ばししてしまうのは、「現状感じているストレスからの回避行動」です。
- その業務が好きじゃない
- とても面倒に感じる
- 忙しい状態でそこまで取り組めない
こうしたストレスや不安が行動を中断させてしまいます。
そして私たちはそのストレスから逃避するために、例えばネットサーフィンや漫画を読むなどストレスのない何か他のことをしたがります。
しかし、結果として先延ばしすることでさらにストレスが募ることになるため問題の解決にならず、むしろ悪化させることになっているのです。
1-2. 完璧主義による先延ばし
「成果を出す自信がない」「失敗する可能性が高いと感じる」と失敗することを恐れて、先延ばしするケースもあります。
これは「完璧主義」の傾向が強い人に多く見られます。
「完璧主義なのに業務を前倒しできずに先延ばしする」ということは矛盾しているようにも思えますね?
しかし、完璧主義であるということは、同時に「失敗すること」や「失敗を周囲に見せること」への強い恐怖感を抱いている可能性が高いのです。
批判を怖れるあまり、どんどんと先延ばしをしてしまい、さらに不安になる、という悪循環に陥ってしまいます。
1-3. ADHDによる先延ばし
ここまであげてきた「ストレスの回避」や「完璧主義」による先延ばししてしまう原因に関しては、2で紹介する意識的な行動を繰り返していくことで修正が可能です。
一方で、自分の意思や行動だけでは、先延ばしを直しにくいこともあります。
それが、「ADHD(注意欠陥/多動性障害)」です。
これは、大人になってから発症するというよりも、子供の頃から悩んでいたり問題行動を改善するために宿題を忘れないようにメモを貼っておいた、といった工夫をした経験を持っている方が多いかと思います。
ADHDについては、原因がはっきりしていません。脳の前頭前野に偏りがあるのが原因なのではないかと考えられています。
その結果、「常に落ち着きがない」「思ったことを口にしてしまう」の他に、「時間管理が苦手」「業務を順序だてて取り組むのが苦手」という症状があります。
この場合は、まず医者の診断の必要があります。
そして自分の状況をしっかりと見つめていかなければなりません。
薬物治療もありますが、基本的には家族を含めた周囲の人たちに理解してもらい、協力してもらうことも改善のためには大切です。
やるべきことはメモをする習慣も必要ですが、期限が迫ったら、周囲の社員に一声かけてもらうなどの協力もお願いしていくべきでしょう。
自分ひとりで悩んでいても改善が難しいですし、できない自分を追い込んで、自己嫌悪や自信を失いメンタルヘルスで二次的な被害を受けることがあるので注意が必要です。
医者にしっかりと相談しつつ、これからご紹介する対策方法を少しでも実践してみてください。
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2.先延ばしする癖を直す方法
ここからは自分でできる先延ばし癖を直す方法について解説します。
2-1.やるべきことを書き出し、目標を細かく分ける
「やらなきゃいけないのにやる気が起きず先延ばしにしてしまう」といった経験はないでしょうか?
大きなタスクがあると、
- 何から手をつけていいのか
- どこで何をすべきなのか
- それぞれのステップにどのくらいの時間がかかるのか
といったことが分からずに先延ばししてしまうことが多いです。
解決策としては、「大きなタスクは細かく分けて」小さな目標を立てていくことです。
やるべきことが多くて頭の中でボヤッとしている状態だとやる気は起きません。
分解することで、「何をすべきか」「どれくらいかかるのか」ということが明確に見えてくるため行動に移しやすくなります。
例えば、企画として新しいプロジェクトの立ち上げを任されたとします。
やるべきことを細かく分けていくと、
- 同じような企画の前例を調べる
- アイデアを集める
- 経験者に相談する
- 書面で資料を作成する
- チームや上司と情報を共有する
といった内容になるでしょう。
これらをさらに細かく「アイデアを集めるために競合サイトを調べる」「明日〇〇さんに企画の相談をする」というように具体的にしていくことで、今何をすべきかがわかるので行動に移しやすくなります。
あわせて、起こり得る障害もあらかじめ想定し、それに対して「どう対応していくべきか」も考えておくと突発的なアクシデントによる混乱を防ぐことができます。
仕事の抜けがなくなるだけでなく、優先順位も把握しやすくなります。
これを活用してタイムマネジメントすることで、最優先すべきタスクに真っ先に臨むことができるようになるのです。
2-2.まずは少しだけやってみる
これはよく教育者が生徒たちに話す内容ですが、「やる気は、少しやってみることで、自分で上げていく」というものです。
「勉強のやる気がないときは、まずは机の前に座ってテキストを開くだけで良い」ということを聞いたことはありませんか?
これはちゃんとした根拠があり、実際に勉強をする行動を取ることで脳の側坐核を刺激することで「ドーパミン」の分泌を促しています。
ドーパミンは「興奮ホルモン」とも呼ばれており、これが分泌されることでやる気は自然と高まっていくのです。
これはもちろん仕事にも応用することができます。
何をするかは人それぞれですが、まずはやるべきことを少しでもいいので取り掛かるようにしましょう。
そうすることで「作業興奮」が発生し、その勢いでどんどん仕事がはかどっていきます。
- その業務が好きじゃない
- とても面倒に感じる
- 忙しい状態でそこまで取り組めない
1-1で触れたこのような状況にある方こそ、やるべきことを少しだけでもやってみるということが先延ばしを阻止するコツになります。
2-3.休憩や報奨などを取り入れる
ストックホルム大学の研究チームが、先延ばしをどうすれば改善できるのかという研究をしています。
その中で
「小さな目標を達成したら、報奨を受け取るシステム」にすることで効果があった
と発表しています。
この場合の報奨とは成果に見合ったお金を受け取るということではなく、コーヒーを一杯飲むようなブレイクタイムになります。
これがあるだけで、人のモチベーションは変わってきます。
例えば、5時間かかるタスクがあった際に、5時間やりきるという目標だとハードルが高くなり、先延ばししてしまう可能性があります。
ここは、1時間でこの項目を完了させ、コーヒーブレイク、次の1時間でこの項目を完了させて、チョコレートタイムといった感じで、メリハリをつけると行動に移しやすくなります。
日々納期や期限に追われている状態の場合、どんどん精神的に追い詰められていきますので、それがモチベーションを低下させ先延ばしの習慣に繋がっていくケースもあります。
そんなときは中途半端でも思い切って休んでみることが必要かもしれません。
困難なタスクを完了した時には、思い切ってエンジョイして、満足感に浸るということも、さらに次の挑戦への意欲付けになります。
リフレッシュすることで人は次の行動へのやる気は高まっていくのです。
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まとめ
先延ばしの習慣は、「自分にはできないのではないか」という思いを抱かせ「自己効力感」を低下させ自信をどんどん喪失していくことになっていきます。そうなると、まさに悪循環です。
これを断ち切るためには先延ばししない意識と行動を心掛け、それを少しずつ習慣化させていく必要があるでしょう。
① やるべきことを細かく分けて、具体的な見通しを立てること
② まずは少しでいいから取り組んでみること
③ 適度な休憩を取ったり、ご褒美を用意しておくこと
これらを実践していくことが、先延ばしをする癖を直す有効的な方法になります。
先延ばしをすることなく、目標を達成したり、大きなチャンスを手に入れる喜びを感じてほしいですね。
苦しくなったら「ここを乗り越えたら、自分はさらに成長し、喜びを感じることができる」と自分を鼓舞してあげてください。