
「マインドフルネス」という言葉は、多くの企業に研修の一環として導入されたり、テレビ番組でも取り上げられるようになり一般化してきています。
特に「マインドフルネス瞑想」が盛んで、手軽にストレスを軽減でき、さらに集中力を高めることができることからブームになっています。
番組などで紹介されている手順通りに行えば一定の効果が見込めるのでしょうが、マインドフルネスの意味や意図をしっかり理解してから始めたほうが、より効果は高まるでしょう。
自分に対してどうしても批判的になってしまう人や、他人に厳しくなかなか受け入れられないという悩みを持っている人は、ぜひ今回の内容を読んで実践してみてください。
この記事の目次
1.マインドフルネスとは何か?その効果について
1-1.マインドフルネスの状態とはどういう状態か
日頃、私たちはあまり意識していませんが、多くのことを考え、不安になったり、否定的になったりと、頭の中や心の中はとても忙しい状態になっています。
食事をしている最中も、仕事をしている最中も、そして休憩している時間ですら思考が止まっていることはないのではないでしょうか。
マインドフルネスとは、そういった思考が大忙しの状態から、頭や心を解放した状態のことです。
「そんな無我の境地のような状態にどうしたらなれるの?」と不思議に思われるかもしれませんが、要するに「今だけ」、「ここだけ」に集中している状態です。
よくスポーツ選手が「ゾーンに入っている状態」という表現をしたり、「フロー状態」と言ったりしますが、同じ感覚です。何かひとつに集中している状態になります。
よく禅宗では座禅の修行をしていますが、雑念が入ると「ピシリ」と肩を叩かれますね。座禅をして雑念を捨てている状態が、まさにマインドフルネスです。
つまりマインドフルネスとは、雑念を持たずリラックスし、今だけに集中、研ぎ澄まされている状態、またはそれを目指しているプロセスを指します。
1-2.マインドフルネスの導入例
マインドフルネスの効果であるストレス軽減、自律神経回復、集中力アップなどは脳科学によって証明されており、その結果、多くの分野で導入されるようになっています。
マインドフルネスは、最も自分の力を発揮できる状態になることから、有名な大企業は積極的に研修の一環として取り入れています。
一例として、googleやfacebook、インテル、ナイキ、ヤフー、マッキンゼーなど、時代の先端を進んでいる一流企業も多く取り入れています。
マインドフルネスは、休憩時間にコーヒーを飲んで神経を過敏にするよりも、高いパフォーマンスを維持し成果をあげることができるからです。
アップルの創業者であるスティーブン・ジョブズ氏も、マインドフルネスのために瞑想を習慣にしていました。
同様にアメリカ合衆国の政府機関では、アメリカ海軍、国防総省などもマインドフルネスの時間を設けています。
小学校などの教育機関にも取り入れられており、マインドフルネスの効果によって、いじめや人種差別などが減少しました。
1-3.マインドフルネスの効果
これだけ多くの有名企業が取り入れているのであれば、気になるのはその効果ではないでしょうか?
実際、マインドフルネスの効果は多岐に渡ります。
ただリラックスして、今だけに集中しているだけなのですが、驚くほど多くのメリットがあるのです。
(一度だけの効果ではなく、継続していく中で効果が見られる内容も含みます)
- リラックスすることで副交感神経が優位になり、ストレスが軽減され、免疫力が向上する
- 集中力が高まり、さらに思考が整理されクリアになることで、洞察力や直観力、創造力が高まる
- よく眠れるようになる
- カロリーの摂取量が低く抑えられ、血糖値やコレステロールの上昇を抑制、高血圧の改善やダイエット効果がある
- 今の自分を見つめ、受け入れることで、心の広がりや繋がりを感じることができ、自分だけでなく、相手の心情にも寄り添い受け止めることができるようになる
- 大脳皮質の発達を促し、注意力や感覚処理、記憶や認識の面で向上する
- 海馬の灰白質が5%増大し、扁桃体が5%減少することで、ストレスに対する過剰な反応が抑えられ、新しい能力を身に付けたような変化に匹敵するほどの発達が見られる
以上のように、マインドフルネスには非常に多くの効果があるので、ぜひ試してみてください!
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2.マインドフルネスの具体的な方法
2-1.マインドフルネス瞑想
チベットに住む高僧の瞑想時と、エクストリームスポーツのプレイヤーが超高度から飛び降りる際の脳波は、同じであることが判明しています。
どちらもまず強烈な不安と高いストレスを自分に課すのです。
瞑想時は貧困にあえぎ苦しむ民衆をイメージし、エクストリームスポーツの時は自分が事故で死ぬことをイメージします。
そしてここから一気に不安から自分を解放すると、とてつもなく集中できる状態になるのです。
これがマインドフル瞑想の理想ですが、一般の人にはこの境地に達することは難しいでしょう。
ですので、初歩的な瞑想の手順について紹介します。
ポイントは自分の呼吸にひたすら集中することです。
ひとつのことに集中することで、他の雑念を断つことができます。
仮に余計な思考が生まれてきたら、「これは雑念だ」と心の中で唱えてその思考を手放します。これは「ラベリング」と呼ばれる手法です。
瞑想は座って行うイメージがありますが、立っても、座っても、寝転んでも問題ありません。
要は自分がリラックスできる態勢で、姿勢を正して行えればいいのです。
自分呼吸に意識を向けるため、肩の力や顔の力を抜き、半眼でどこか一点を見つめるとやりやすくなります。
時間については1時間も行っている必要はありません。3分間ほどでも充分です。
慣れてきたら少し長くしてみてもいいかもしれません。できる限り習慣化し、同じ時刻に行うように、日々のルーティンに加えるのがいいでしょう。
ちなみに禅宗でもヨガにも瞑想はありますが、マインドフルネス瞑想の特徴は宗教的要素を取り除いたものだという点にあります。
2-2.マインドフルネス呼吸法
マインドフルネス瞑想でも重要になる「呼吸」ですが、この呼吸の仕方だけでもマインドフルネスの状態に近づくことは可能です。
こちらは基本、「腹式呼吸」の要領になります。「マインドフルネス呼吸法」とも呼ばれています。
鼻だけの呼吸や、口だけの呼吸はしません。鼻から息を吸い、腹にためて、口から息を吐くのです。
マインドフルネス瞑想では、この腹式呼吸に集中することになります。
私たちが普段している呼吸は胸式呼吸と呼ばれるもので胸が動きますが、腹式呼吸はお腹の動きを意識して行うものであり、最初は難しいかもしれません。
- 背筋を伸ばして、鼻からゆっくりと息を吸い込みます。このときお腹の下(丹田)に空気が溜まるイメージでお腹を膨らませます
- 次に、お腹を凹ませながら、ゆっくりと口から空気を吐き出します
ポイントは、頭の中で4つカウントしながら鼻で息を吸います。そして息を止めて7つカウントし、8つカウントしながらゆっくりと息を口から吐き出します。
息を吸う時間の倍の時間をかけて息を吐くのがコツです。
2-3.マインドフル・イーティング
今に集中するということは、呼吸だけに限りません。食事であってもいいのです。
それが「マインドフル・イ―ティング」と呼ばれています。
これは、とにかく食べることだけに集中するものです。
実際に行ってみると、日頃私たちがいかに余計な事を考えながら食事をし、食事の持つ効果を半減させていたのかに気が付きます。
ポイントは、30分から1時間ほどの時間をかけて、ゆっくりと食べることです。
その間はテレビも観ませんし、音楽も聴きません。会話すらしないのです。ひたすら食事に五感を注ぎ込みます。
非常に長い時間ように感じられたかもしれませんが、ゆっくりと食事をすることで料理の色彩を感じたり、香りを楽しんだり、噛んで味わったりといろいろな食感を感じることができます。
まさに、今ここにただ集中しているからこそ感じることのできる境地です。
また、ゆっくり食べることで満腹中枢が刺激されるので、カロリーの摂取量は低く抑えることができます。そのため、ダイエット効果を期待して取り組んでいる人たちも多くいます。
2-4.マインドフル・リスニング
呼吸に集中するのがマインドフルネス瞑想、食事に集中するのがマインドフル・イ―ティングであるならば、聴くことだけに集中するのが「マインドフル・リスニング」です。
この場合、音楽に集中するといった形式ではありません。
多くの場合、マインドフル・リスニングというと、人間同士のコミュニケーションによく用いられます。
これは、ひたすら相手の話しに集中します。
話を聞いているとつい、「相手の意見が正しいな」とか「間違っているな」といった判断をしがちですが、こうしたことはまったく必要ありません。
ただ話を聴き、その心情を察し、受け止めることです。
相手も、あなたが深く話を聴いてくれている状態によって心を開くようになり、人間関係は良好になります。
マインドフル・ネスリスニングは自分だけでなく、周囲に広げることで、良い影響をもたらすことができるのです。
ですからマインドフル・リスニングについては、職場のコミュニケーションによく用いられます。
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まとめ
人間の脳は、体重の2%ほどですが、全体で消費するエネルギーの20%を必要とします。
それだけ脳は激しく動いているということです。この脳疲労を軽減させるために、マインドフルネスはとても効果的です。
マインドフルネスについては、多くの分野で導入されていますが、その大きな理由のひとつが、マインドフルネスにはメリットこそ多いが、デメリットがほとんどないという点があげられます。
ただし、一朝一夕で効果が出るものではありません。
何日か続けてもあまり効果が実感できないかもしれませんが、自分と向き合い、その感情を見つめ受け入れながらコツコツと継続していくことで、成果は出てくるでしょう。
ストレスを軽減し、より高いパフォーマンスを発揮するため、または、自分や他人を優しく受け入れられるようになるために、ぜひマインドフルネスを実践してみてください。