社員の自主性を育てるために重要なことと注意点

会社の経営者や管理者は、社員が自主的に動いてくれる=自主性を持つということを非常に望まれています。

企業の存在意義やマネジメントに関する権威でもある、ピーター・F・ドラッカーも、「働き手を動かすのは自主性である」と述べています。また、「自らを、成果を上げる存在にできるのは、自分だけ」とも表現をされており、いかに自分の意志で行動できるか、即ち自主性が大切であるということを述べています。

しかし、現状は、「社員が指示待ちになってしまう」「言われたことしかやらない」「自分で考えて行動できない」などの問題点が挙がっています。

そのため、今回は、社員の自主性を育て、成果を出すために必要なポイントについてお伝えしていきます。


社員が自主性を持つメリット

社員が自主性を持つことで、企業にとっては、様々なメリットがあります。自立型社員の多い組織は、非常に活発で大きな成果を生み出します。ここでは、その具体的内容について説明していきます。

組織の活性化

自主性を持つ社員が増えることで、組織全体にやる気が満ち溢れてきます。

目標達成のために、どのような行動を取るのか、目標達成のために何が必要なのかなどをそれぞれが積極的に考え行動することで、職場の雰囲気が明るく前向きになり、活気が生まれ組織が活性化することになるのです。

意見やアイディアが多く生まれる

自主性を持つ社員が増えることで、目標達成や、課題解決のために積極的に行動することになります。

そうした目標の達成や課題解決のために必要な情報共有や話し合いも行なわれるため、上司・同僚・部下などから様々な意見やアイディアが生まれることになります。

また、その意見やアイディアの達成のための話し合いなども必然的に行われることになります。その結果、大きな成果を出すことができます。

離職者が減少する

社員が明確な目標を持ち、その達成に向けて自主性を持って行動することで、社員にやりがいが生まれます。

特に現代では、若い世代の自己効力感(自分の行動に対して、物事を達成することができるという自信のようなもの)が低い人が多いです。

この自己効力感が高くなることで、自信を持って行動することができ、仕事に対して非常にやりがいを感じることになります。やりがいを持って働くことは会社を離職する人が大幅に減少することにもつながるのです。

社員の能力アップのスピードが速い

社員が自主性を持つことで、目標の達成や課題解決のために仲間と意見を出したり、その達成や改善に向けて情報を集めたり、スキルアップに努めることにもなります。

もちろん失敗することもあるかと思いますが、その失敗を次の成功へのステップにつなげることができます。(そして、そうした失敗を許容する文化にしておかなければなりません)

その結果として、自主性を持つ社員は、能力アップのスピードが非常に早くなることになり、周りを巻き込みながら成長していくケースが多く見られます。

社員の自主性の育て方について

社員が自主性を持つことのメリットについて説明してきましたが、ここでは、どのようにして自主性を育てていけばよいか?その方法について説明していきます。

社員の目的、目標を明確にする

やはり社員が自主性を持って行動するためには、目的・目標が明確になっていないといけません。目的・目標が明確になることで、自分自身の向かう方向や、手段などが明確になります。

その目的・目標を達成するために自主的に行動するようになり、自主性が育つことになります。

目的・目標の定義や設定において、それぞれの違いや設定のポイントを理解して、確実に設定を行なってください。

目的…実現しようとして目指す事柄、行動の狙い(何のために、何故)=抽象的である
目標…目的に達成するためのプロセス(何を、どのように)=具体的である

社員のモチベーションを上げる

社員が自主性を持って行動するためには、目的・目標を達成しようとするモチベーション(動機づけ)

がなければなりません。その動機づけについて説明していきます。

動機づけの方法には「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」があります。ここでは、それらの具体的な内容について説明していきます。

1)内発的動機づけ

内発的動機づけは、目的・目標が明確になり、自分自身の内面に起こる興味・関心・探求心によって発生する動機づけのことになります。

そのため、社員の内発的動機づけがうまい組織では、従業員満足度も高くなり、仕事にやりがいを感じ、生き生きと働く社員が育ちます。

その結果として、社員の離職も減少し組織も活性化することになります。

反面、個々の社員の内面による部分が大きいため、個人差も出やすく、成果が出るまで時間が掛かるケースもあります。

2)外発的動機づけ

外発的動機づけは、報酬や評価、ペナルティなどの外部からの働きかけによる動機づけのことになります。

企業では、給料や賞与、昇進などといったものが、自主性の動機につながるものということです。

外発的動機づけを行うためには、その行動がしっかりとした承認・フィードバックされ、更には評価・報酬体系などと連動することで、より効果的になります。

社内コミュニケーションを円滑にする

社員の自主性を育てるには、自主的に行動しやすい職場の雰囲気づくりや、他の社員との意見・アイディアの交換などの社内コミュニケーションが円滑に行われなければなりません。

せっかく自主的に行動しても、社内で孤立してしまったり、上司や同僚などに相談したりできる環境が無ければ、せっかく芽生えた自主性もすぐに立ち消えとなってしまいます。

そのためにも、職場の環境をしっかりと整備し、社内コミュニケーションが円滑な組織づくりを行い、自主性が育てることが重要になります。

評価体制を確立させる

社員が自主的に、目的・目標達成に向けて努力した結果として、上司からの承認やフィードバックが無かったり、給与や賞与、昇進といった成果につながらない場合、その自主性が損なわれることになります。

そのため、上司の好き嫌いなどの評価ではなく、行動や成果がしっかりと評価につながる評価制度を確立することが重要になります。

自主性が評価制度と連動することで、社員の自主性は継続し、社員が切磋琢磨しながら成長していく組織づくりが可能となります。

社員の主体性を育てる際の注意点

社員の自主性を育てることのメリットについて説明してきましたが、うまくいかないケースも発生します。そのため、社員の主体性を育てる際の注意点について、説明していきます。

社内の目的・目標の共有化

社内での目的・目標が明確になっていないと、社員はどこに向かったらいいのか?具体的に何をすればいいのか?ということがわからなくなります。

また、企業や組織が目指す方向と、個人が目指す方向のベクトルが合わなくなり、バラバラな方向に向けた仕事となり、成果につなげることができません。

そのため、社員の主体性を育てるためには、企業・組織の目指す目的・目標を明確にし、それに合わせた個人目標を設定することで、企業・組織と個人のベクトルが一致することになります。そのことで社員は安心して自主的な行動を取り、成果に向けた行動を取り、成長していくことができます。

管理者のマネジメント能力の向上

社員の自主性を育てるためには、管理者は的確な評価やフィードバックを行う必要があります。

部下の自主的な行動に対し、指示・命令的になったり、自分の考えを押しつけてしまうことで、社員は、指示・命令の遂行のための行動となり、自ら考えることなく、その自主性は失われてしまいます。

そのため、社員の自主性を伸ばすための声掛けやフィードバック、自ら考える機会を提供することで、自主性は継続されることになります。そのための管理者としてのマネジメントやコミュニケーション能力の向上が非常に重要になります。

従業員満足度の向上

社員の自主性を育てるためには、仕事に対しての満足度の向上も非常に重要です。

顧客満足については徹底している企業も多いかと思いますが、円滑な社内コミュニケーションやチームワークなどを通して自分自身の仕事に対する満足度(従業員満足度)も向上させる必要があります。

従業員満足度が向上することで、自分の目的・目標達成に向けて、自主性を持った行動を取ることができます。

しかし、従業員満足度の向上につながる環境が整備されていないと、自分の仕事に対する満足度は低下し、やる気が失われてしまい自主的に行動しなくなってしまいます。

また、自主的に行動し成果を出したことに対して、フィードバックや評価が無かったり、成果を出した対価として、給料や賞与、昇進につながらない場合は、従業員満足度の低下につながります。

そのため、自主性を育てるためには、従業員満足度の向上につながるための環境づくりが非常に重要になります。

自主性を育て、組織の活性化を

社員の自主性を育てることで、組織は活性化し、社員のスキルアップにつながります。また、従業員満足度を向上させることで、顧客満足度の向上にもつながるという相乗効果も期待できます。

社員の自主性を育てるための環境づくりや、管理者のマネジメント能力の向上を図り、一人一人の社員が自主的に行動できる、そんな企業・組織を目指してください。

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