若手社員の企業離れによる人材不足の原因と取り入れるべき対策とは?

現在の企業様内で若者離れが起き、中間層が育たない現状があります。

同じ会社で20年、30年と努めてきた人間からすると、「今どきの若いものは根性がない」と言いたくなる気持ちもあることでしょう。

しかし、若手が企業に定着しないことで、将来的に部下を育てられる層が不足する重篤な人材不足を招き、企業の高齢化を招く恐れがあります。
最悪の事態が起きてからの対策では衰退するリスクが高いことでしょう。

人材不足の解決方法の一つとして、若手とベテラン層の考え方の違いを知り、双方の歩み寄りが不可欠です。

今回は、若手は定着しない理由と、企業離れによる人材不足を回避するための研修について、お伝えします。


若手が定着しない理由はベテラン層の考え方の違い

1つの会社で長年勤めてきたベテラン世代からすると、対人関係や残業の多さなどを理由に次々と退職する若手社員に問題があるように映るかもしれません。

しかし、20~ 30代の若手社員と40~50代のベテラン社員とでは大きく考え方が異なります

現在のベテラン世代は、終身雇用自体によって不服なことがあったとしても勤め上げれば退職金がもらえるのを見てきました。
老後には退職金と年金、コツコツと貯めてきた貯金で生活ができるイメージが持てる方も多いでしょう。

一方、若手社員はバブル崩壊後に生まれています。
平成生まれの彼らは、好景気を経験したことがなく、非常にシビアに企業や社会を見つめています。

終身雇用が崩壊し、「合わない」とひとたびジャッジを下せば、退職までの時間がとても短いのが特徴です。

実際にカウンセリングにおいても、若手の方は転職に対してネガティブな印象が少なく、20代ながらに転職歴が4~5回ある方もいます。

一方で、50代や60代の方は転職に関して否定的で、勤めた以上はその会社で頑張ろうと言う方が多いです。

このように世代によって考え方が大きく異なります。

そのため、将来的な人材不足を解決するためには、若年層の教育のみならず、人を育てる中間管理職やベテラン層の教育が不可欠です。

双方の歩み寄りと若手の心にも響くかかわり方をするために有効な3つの心理学理論を紹介します。

CMM理論を知って伝わるコミュニケーションを

1つ目は「コミュニケーション理論の1つであるCMM理論」です。

相手に伝えた言葉はどの程度、相手に伝わっていると思いますか?

「伝えた=伝わった」との解釈を持つ方もいますが、実際はほとんど相手には伝わりません。

たとえば「リンゴ」という言葉を聞いて、連想するのはどのようなリンゴでしょうか。
八百屋さんに売られているリンゴを連想する人もいれば、お皿に盛りつけられた皮のないリンゴを連想する人もいます。

このように誰もがおよそ同じような連想ができるリンゴでさえ、具体的なシーンや大きさが異なる連想がなされるわけです。

仕事において、「例の書類は?」「先日の件は?」などの話し方をすれば、誤解が生じるのは当然のことです。

CMM理論においては、話し手が話した話はそのまま聞き手に伝わるのではなく、変換されて伝わるとされています。

一人ひとり認識が異なり、解釈が入るためです。解釈を加えた言葉が再び変換されて、相手に返されます。

このときには元々言わんとしていた言葉から半分以下、四分の一以下程度にまで情報量が減ったり、入れ替わったりすることが少なくないとも言われています。

会話する上で、お互いに異なる認識を持っている以上は誤解が起きやすいものです。
それにもかかわらず、指示通りにやらない部下を責める上司は多いものです。

しかし実際は指示があいまいなことが原因であるケースも多く、理不尽な上司にしびれを切らして離職する若手もいます。

伝わる指示にするためには例えば

  • 何を
  • いつまでに

といった具体的な固有名詞や数字を入れ、誤解が最小限になる工夫が必要でしょう。

「伝わる」と信じ込まずに、伝えようとしている情報の四分の一以下の情報しか伝わらない可能性を常に脳裏の片隅に置き、指示を出す工夫が求められます。

異なる価値観を受け入れる傾聴教育

2つ目は「異なる価値観を受け入れる傾聴教育」です。

部下や後輩の話をきちんと聴いている上司や先輩社員はどれくらいいるでしょうか?

多くの方は「聞いて」いますが、「聴いて」いません。

人の話を聴くときに、きちんと相手の目を見て、あいづちを打ち、話をさえぎることなく傾聴できている方は少ないものです。
人によっては、パソコンの画面を見たまま、会話を続ける方もいるくらいです。

しかし目を見ないまま会話を続ければ「この人は私には興味を持っていない」「この人は話を聴いてくれない人だ」とのレッテルを張られ、距離を置かれることにもつながります。

これでは信頼関係を築くことができず、若手は話を会社の方々に見切りをつけてしまうかもしれません。

会話をするときには傾聴を心がけることが大切です。
傾聴とは、耳で聴くだけでなく、目を見て、心を傾けて聴く方法です。

仕事中だと忙しさから耳だけ聞く方も多いものですが、聴覚だけに頼っての会話は必要な情報の抜け漏れになることも多々あります。

カウンセリングにおいて、「大丈夫」と口では言いつつも、口調が強張っていたり、目が泳いでいたりする方もいます。

目は口程に物を言うという言葉があるように、面と向かって会話をすることで、本当は大丈夫ではないことにいち早く気づいて、相談に乗ったり、必要な手を打ったりすることもできます。

相手が聞き入れるやすいアサーショントレーニング研修

3つ目は「相手が聞き入れやすいアサーショントレーニング研修」です。

企業勤めが長いと自己主張や部下への指示出しなどはできる方が多いです。

一方で、お互いに、より良い話し方や聴き方ができている方は少ないでしょう。
部下だから上司の話に従って当然とのスタンスでは、人権無視されているとの解釈をする部下が出てもおかしくありません。

そこで、アサーショントレーニング研修を行い、より良い関係を築くことが大事です。

アサーショントレーニング研修とは、自分の意見や考えを尊重した上で、相手の意見や考えも尊重した会話の技法です。

考え方を押し付ける言い方や上司に従えとの言い方は、相手の人権を軽視している印象を与えます。

頼み事や指示をするときには丁寧さを心がけ、相手の体調や仕事の進捗具合などを心配りすることも必要です。
お互いにとってプラスになるようなかかわり方をアサーショントレーニング研修では培うことができます。

まとめ

若手の離職が相次いで、企業の高齢化が進んでから対処しても遅いものです。

部下の根性のなさを責めるよりも、指導者側のかかわり方も工夫することで、お互いに歩み寄ることができます。

人材不足を食い止めたいのなら、自分から変わる姿勢を持つことが肝心です。まずは3つの心理学理論を参考に、日々の仕事に取り入れてみましょう。

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